過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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447:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/14(日) 20:45:21.44 ID:0rnOj66AO
〜6〜

麦野「……本当に御伽の国か魔法の世界か、って感じよね」

上条「そりゃあ、ここはお前の“自分だけの現実”の一部……つまりお前の心の中だからだろ?」

カボチャの馬車の終着駅、砂糖菓子の城へ連なる飴色の階段を麦野は登る。
一段先行く上条が引く手に導かれるままに、エスコートされて。

麦野「こんなファンシーでメルヘンなもん私としては認めたくないな。もう少しキッチュなもんだと思ってた」

僅かに頬を伝った涙の跡、麦野の眼差しは澄み切っていた。
その表情を見る度に上条は思う。まるで泣き疲れた子供が空を眺めるような顔だと。
握り締める手指。力のこもっていないそれを、上条はいつも少し強めに握ってやる事にしている。
少しでも目と手を離せば、たちどころに迷子になって消え入りそうな儚さをそこに見るからだ。

上条「悪い……キッチュってなんだ?」

麦野「うわあ……頭のネジ緩んでるって言うか、締め直す穴が見当たらない。ついでにかける言葉が見つからない」

上条「五月蝿えな!らくらく英語トレーニング日常会話編まだ3級なんだよ!まだ習ってねーよそんな単語!!」

飴色の階段を登り詰め、角砂糖の石畳を二人はゆっくりと歩く。
チョコミントの庭園の、そのまたチョコスプレーの土を踏め締める。
そんな上条の言葉に呆れたようにマーブルの庭石を蹴飛ばしながら――麦野は語る。

麦野「“Kitsch”。ドイツ語で毒々しい紛い物、安っぽいおぞましさ、まあネガティブなもんだってその××××女の×××よりユルユルガバガバの頭に入れておくんだねえ?」

上条「へいへい下品でわかりやすい解説どうもありがとうございました麦野大先生!だいたいドイツ語なんて学校で習わねえだろ!!」

麦野「そんな事言ってるからイタリアで迷子になりかけたくせに人に道も尋ねられないなんて不様な羽目に陥るのよ」

上条「うっ……」

麦野「楽しかったにゃーん……右往左往ってのはああいうのを言うんだろうね。物影から見てて爆笑もんだったわ」ククク




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