過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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463:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/14(日) 21:05:13.97 ID:0rnOj66AO
〜19〜

カラーン……カラーン……カラーン……

上条「鐘が鳴ってる……向こうもちょうど閉園時間か」

麦野「――あっと言う間ね」

――吹き荒ぶ秋風に乗って響き渡る遊園地の鐘の音が夜に吸い込まれて行く。
月灯りが照らす光が、第七学区へ向かう二人の道行きを照らす。
闇夜の中にあって連なる二つの影が一つに重なり溶け込む。
その足元から麦野は視線を上げて傍らに見やる。
そして巻き起こる夜風に舞い上がる前髪が落ちた所で上条も振り向いた。

上条「ああ、本当にあっと言う間だったな……やっぱり今度から休みの日に来てえな。全然回れなかった」

麦野「そうね。けど半日足らずで三つも回れれば御の字じゃない?ディナーは今一つだったけど」

上条「かもな……でも、本当に行って良かった。思ったより楽しかったし、それに――」

麦野「――それに?」

上条「お前があんなはしゃいでて、なんかそれがすげー新鮮だった!」

麦野「ば、馬鹿!はしゃいでたのはあんたでしょ?私のレベルに追い付くならまだしも勝手にテメエのレベルに引き下げてんじゃねえよ!」

上条「嘘吐けよ。お前だっていっぺんも嫌がらなかったじゃねえか。お化け屋敷以外」

麦野「うっ……」

上条「――お疲れ、麦野」

既に最終下校時刻が過ぎているため、帰りのモノレールもなくなってしまっているが――
ほぼ第七学区と隣り合わせにある道筋は一駅分にも満たない距離である。

上条「はー……やっぱりいるよな、スクーターのライセンス」

麦野「……かーみじょう。あんたの頭で本当に受かんの?本当に大丈夫なのー?」

上条「馬鹿!上条さんを見くびり過ぎだっての!だいたい聞いた事ねえよ原チャリの免許落ちるヤツなんて!」

麦野「私だって聞いた事ないし自分の男が原チャリの学科試験も受からないお粗末な脳味噌だなんて思いたくないわ。でももし落ちたら――」

上条「……お、落ちたら?」

麦野「――テメエを“チンパン”か“ペニ公”って呼ぶ事にする」

上条「なんだそのあだ名!!?」

今更ながら必要性を覚える原動機付き自転車の取得に乗り気の上条の意気を挫くように弄る麦野。
歩くのは苦手、と以前織女星祭でのたまった事はあるが――
こうして肩寄せ合って歩む30分足らずの道のりも、この向かい風を除けばそう悪くないかと信号待ちしながら麦野は思った。




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