過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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471:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/14(日) 21:18:17.30 ID:0rnOj66AO
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スキルアウトG「(ブチ込んでやるぞ)」

そして――上条と麦野が交差し始まった物語の舞台……
交差点にて会敵したスキルアウトもまた、断崖大学へと向かい直走る盗難車から降り立ち駆けて行く。
その手にはハンドメイドの手製の焼夷ロケット砲。
背を屈め頭を低くし、見取り図にある約八箇所もの出口の内一つに狙いを定めてスキルアウトは行く。

スキルアウトG「(ここいらで手柄を立てねえとどうにもならねえんだよ!!)」

スキルアウトの妙に青白い顔に汗が滲み出、焼夷ロケット砲を持つ手に巻かれたチェーンがチャラチャラとなる。
切れ込みを入れたズボンに包まれた足は今すぐにでも飛び出したいのを留めるので精一杯だ。
今まで女衒めいた仕事しかして来なかったスキルアウトは、浜面らほど荒事に長けていなかった。しかし

スキルアウトG「(帰る場所なんて……もうどこにもねえ!!)」

スキルアウトは考える。あの『茶髪の女』に全てを奪われた日々と現在を。
仲間は全て鏖(みなごろし)にされ、資金源も女達という商品も失った。
報復に打って出た交差点では無関係の人間を轢いただけで肝心の『茶髪の女』には近づく事さえ出来なかった。

スキルアウトG「(何も残ってねえ……どん底だ!!)」

スキルアウトは訴えた。自分を捕縛した警備員に。
自分を第十学区の少年院に自分を放り込んだ裁判所に訴えた。
仲間が殺された事。死体は残らなかったが血痕は残されていた。
状況証拠ならばそれだけでも事足りた。しかし――スキルアウトの訴えは揉み消された。
否、『訴えた事すら』なかった事にされたのだ。立件以前の問題、闇に葬られた見えざる神の手に握り潰されたのだ。

スキルアウトG「……狙え、狙え……!」

三ヶ月という月日、少年院から出所した後スキルアウトは浜面らのグループに新参者として加わった。
資金源もない、発言権もない、自分を拾ってくれた駒場利徳もいない。
浜面仕上には軽んじられ、服部半蔵には疎んじられ……
『居場所』を作るのだ。もう誰にも蔑まされないために。そして

スキルアウトG「ウオオオオオオオオオオ!!」

ドン!と焼夷ロケット砲が出口に着弾し夜空を赤く染める火の手が上がる。

憎き仇……『茶髪の女』の顔を思い浮かべて放った一打。

外すはずがない。どん底に落とされた人間に無くすものなどない。

――必ずやいつか、この絶望をあの女に叩き込んでやると――



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