過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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490:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/16(火) 21:04:31.03 ID:yfl+7YQAO
〜1〜

――――――時は僅かに遡る――――――

スキルアウトa『セキュリティー切れてんじゃねえのか!?話が違えじゃねえか!』

スキルアウトb『馬鹿落ち着け!動いてんのは火災報知器だけだって!』

スキルアウトc『兎に角例の女探そうぜ。時間がねえ、見張り減らして代わりに中入れろ!早く!!』

スキルアウトd『ったく浜面の野郎杜撰な絵描きやがって!だから言ったんだ!』

スキルアウトe『いや、火そのものは全部点いた……このハリケーンのせいか』

スキルアウトf『ツイてねえなあ……ツイてねえよ』

スキルアウトG『………………』

美鈴『(な、なんなのよこれは!!?)』

御坂美鈴は直径50メートルほどのドーム型の施設、断崖大学データベースセンターのそのまた隣接したキューブ状の建物に身を隠していた。
そこはサブ演算装置保管庫であり、美鈴は蛍光灯の切れた真っ暗な部屋、マザーボードに頭を低くして縮こまった。
調べものをしている最中に突如として起こった爆発、火災、そして鎮火と共に雪崩れ込んで来た靴音。
それがハリケーンの吹き荒ぶ音と相俟って、美鈴の精神の均衡に爪を立てて行く。

美鈴『(探されてる……さっきの爆発がこいつらのやったものなら、見つかったら私は殺される!!)』

今施設を利用しているのは自分一人、そして先ほどから耳朶と心臓を震わせる男達の怒号。
酔いの回った頭でも覚えている警備員への三桁から成る緊急通報番号へのコールは既になされた。
『妙に丁寧な口調の男』が応答に出てから既に十分近く経過しているのに梨のつぶて。
何一つとして間違っていない手順をなぞりながらも、酔いすら消し飛ばすほどの恐怖に美鈴は震えていた。
恐怖だ。このハリケーンと、迫り来る死と、辺りを包む暗闇が蝕んで行く。

美鈴『(一人はまずい。独りはマズい。ひとりは追い詰められる。誰か、誰かお願い!!)』

破裂しそうな心臓と共にせり上がりそうな叫びを、誰かへの言葉に伝えたかった。
夫は連絡がつかない、さりとて娘・美琴への電話はプライドが許さない。
娘を戦場と化しつつある学園都市より連れ戻すと説得を重ねていた自分が何故娘に寄りかかれるか。と――

麦野『――友達なんかじゃない』

その時美鈴の脳裏をよぎったのは、昨夜と今夜にかけて二度見かけた冷たい美貌、脆い横顔。

美鈴『はは……』

指先が、登録したばかりの番号に伸びた




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