過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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517:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/18(木) 21:04:44.79 ID:GCmG3rJAO
〜14〜

美鈴「――――ッッ!!」

天蓋が落盤し、降り注ぐ瓦礫の雨が美鈴の周りのスキルアウトらをその一山に埋もれさせて行く。
両手で頭を抱えて縮こまる美鈴の頭に、円形に切り取られた大講堂上層部より暴風雨が吹き荒れる。
しかし――美鈴には瓦礫はおろか欠片すら降り注がない。
美鈴の周囲のみが台風の目のように全ての破壊から無縁であり、代わりに横殴りの雨を乗せた颱風だけが舞い上がる。

浜面「な、な……!?」

麦野「――どうしたの?楯突いて来たんならもう少し気張りなよ」

ビュオオオオオオオオオオ……

直前に大講堂左斜め奥に逃げ込んでいた浜面はその大崩落の後、舞い上がる粉塵すら暴風にかき消される彼方で――見た。
これだけの破壊を生み出しておきながら破片一つ美鈴に飛ばさないその能力者を。

麦野「この辺に使われてる建築材なんて、金魚すくいのポイだよね。もっとも、有機物だろうが無機物だろうが――」

浜面「(まさか……こいつ)」

麦野「――私の原子崩し(メルトダウナー)の前じゃ処女膜ブチ破るくらいの手間しかかかんないんだけど」

浜面「(超能力者……レベル5!!?)」

轟々と雨粒を乗せた突風が逆巻き渦巻く中片膝をついて顔を上げた浜面が固唾を飲む。
飲み込んだツバを吐く事も出来ず、呑み込む側から戻しそうになる圧倒的なプレッシャー。
確信する。浜面はレベル5など今まで知らなかったが――
レベル4の無能力者狩りのメンバーが手品に見えるレベルだ。
間違い。メルトダウナーという能力がどういう性質のものかはわからない。が

浜面「(……死ぬ)」

当たって痛いなどという路地裏のやり取りの埒外にある破壊。
当たるどころかかすれば死ぬ。間違いなく殺される。
そしてこの魔女は決して自分を見逃さないだろう。
この死の恐怖で研ぎ澄まされた五感と、発条包帯で手にした身体能力でやっとかわした初撃。
背中を向けて逃げ出せば間違いなく……命を落とすのではなく奪われる。

麦野「――墓穴掘ったね。さっき見た限りじゃ警備員は突入して来れない。つまり――テメエはもう捕まって“保護”してもらうのも無理って訳」

浜面「(……殺される)」

麦野「喜べ。掘った墓穴(ぼけつ)がそのままテメエの墓穴(はかあな)だよ。準備が良くて助かるにゃーん?」

――この、死と絶望を撒き散らす魔女に……殺される――!!




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