過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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528:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/18(木) 21:19:05.87 ID:GCmG3rJAO
〜5〜

浜面「――……」

その時、予想だにしない人間の声が大講堂内に木霊した。
この嵐の中にあって霹靂のような力強く鋭い声が。

麦野「……はあ?」

美鈴「もういいじゃない!彼はもう戦えないし貴女に勝てない!外に警備員が来てるんでしょう!?」

麦野「――そうね。だから何?」

美鈴「……学園都市の条例はよくわからないけど、このまま引き渡せば彼は然るべき法の裁きを受ける事になる。これ以上貴女が手を下す必要なんてどこにもないのよ!」

――御坂美鈴が、原子崩しを放とうとしていた麦野の前に両手を広げて立ちはだかっていた。
肌寒い豪雨と、晒され続けた恐怖を噛んで青紫になった唇を震わせながら。
死刑執行寸前であった浜面に背を向けて庇うようにして。

麦野「……頭のネジ緩んでる?オバサン。一度しか言わない。どいて」

美鈴「……どかないわ」

麦野「血の巡りの悪い母娘ね――」

そんな美鈴の必死な……そう必死というより悲壮なまでの表情に魔女が巻き毛をかき上げた。
まるで何度掛け算のやり方を教えても九九も満足に出来ない子供を見る教師のような……曰わく冷めた表情。

麦野「あんたも一度や二度警備員に連絡してそれでも来なかったでしょ?今も来ないでしょ?つまり“そういうこと”なんだよ……こいつを生かしておいて得な事は何一つない。なんでわかんないかな」

美鈴「……人の命を損得ではからないで!!」

麦野「――いい加減にしろこのクソババア!!!」

魔女が美鈴の胸倉を掴んで締め上げた。駄々をこね癇癪を起こした子供に苛立ったような形相。
――否、逆だ。まるで魔女が地団駄を踏んで美鈴がそれを許さないようにさえ見える。

麦野「テメエの命狙ってた人間の盾になるってか!ここまで火点いたケツ私に回して拭わせといて自分はマザーテレサ気取りか!!テメエの手は汚さねえ、血も流さねえでなに“外側の世界”の綺麗事語ってやがる!!」

そう、凍てついていた魔女の顔からみるみるうちに狂気が消え失せて行く。
それどころか――必死に怒りの形相を作ろうとして顔をクシャクシャにしているような……

美鈴「――なら」

しかし……見据える美鈴の表情は対照的に揺るがない。

美鈴「……どうして貴女はそんなに泣きそうな顔をしているの?」

麦野「!?」




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