過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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563:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/21(日) 21:02:30.64 ID:Y4ZbBsuAO
〜−7〜

これだけ殺してやっとわかった命が持つ重さ。
ここまで殺してやっとわかった死の持つ重み。
当麻と出会って、インデックスと暮らし始めて、御坂達と付き合う今になって――
私は震えてる。脅えてる。戦慄いてる。戦いてる。恐れてる。



――私と、当麻達(あいつら)が違っている事に――



私だけが違ってる。私だけがあいつらみたいになれない。
あいつが繋いでくれる手はあんなにあったかいのに、あいつらの手はあんなにきれいなのに……
私だけがいくら洗っても消えない血と落ちない死の匂いで汚れてる。

身の内の狂気が、胸の中の絶望が、背に負った後悔が重い。
あったかいひだまりは、どんな裁きより残酷に私の罪を暴いて行く。
瞳を背けていたもの、眼を切っていたもの、目を瞑っていたもの。
瞼の裏に広がる暗闇に、私が殺して来た人間の顔が焼きついてる。



雪(わたし)が太陽(とうま)に溶けても、氷(つみ)が全て水(ゆるし)に変わって流れるだなんてありえない。



摘んで、奪って、消して、潰して、壊して、殺してきた私があいつらの側でもがいていたのは、ありえたかも知れない世界をそこに見るから。
償う事も贖う事も取り消す事も取り返す事も取り戻す事も出来ない私があいつらの傍で足掻いていたのは、ありえたかも知れない未来をそこに感じるから。


人を殺さず6570日を生きれたかも知れない優しい世界と綺麗な私をそこに見るから


そんな御都合主義のもし(if)なんて私の過去のどこにもない。
if(もし)があるのは未来だけ。でも未来を語る資格を私はなくした。
自分の手で破壊した。笑いながら人から奪った。
血で濡れた汚れた左手、血に塗れて穢れた右手で、ダイヤモンドを受け取る事なんて出来ない。

――そんな手に刺した感触も、銃を撃った衝撃も、人を殺した自覚さえ希薄な能力で殺して来たんだ。
殺意と、演算と、命令一つで何度となく繰り返して来たからこうなる。
ちゃんと、自分の手を通して人を殺さなかった。
命を奪う感触が手に残ったなら、その一度で止める事が出来たかも知れない。
嫌悪感も、恐怖感でも、罪悪感でも何でも良い。ブレーキになったかも知れない


だけど私はそれをしなかった。



最初の一回を踏みとどまれなかった。



二度と戻れない道だと考えもせずに。



私は人を殺したんだ。





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