過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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599:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/08/23(火) 21:24:35.25 ID:oaSu1JVAO

美鈴「ああ……!!」

ドン!

屋根に叩き落とされ九死に一生を得た御坂美鈴は聞いた。
この嵐の夜の雷(いかずち)よりも雄々しく轟く少年の叫びを

浜面「なっ……」

麦野を撃ち墜した浜面仕上は見た。この嵐すら道を空けるような速力で大地を踏み越え、石畳を駆け抜け、瓦礫を蹴り飛ばして――
空から降って来る翼を持たぬ天使の元へと走る少年の背中を

麦野「……!!」

麦野沈利は感じた。盲目も同然だった暗黒の世界の中にあって……
目蓋の裏に浮かべたその笑みを絵に描き起こせるほど愛しい存在を。そう

「まだだ!」

烈風を掻き分け、逆風を切り裂き、暴風をねじ伏せ、少年は一陣の神風となって嵐の夜へと手を伸ばす。
少年は認めない。無慈悲な神が押し付けた残酷な結末など、ただ美しく終わる悲劇(バッドエンド)を認めない。

「まだ終わりじゃねえ!!」

人と人は決してわかりあえない。しかし人には歩み寄る事が出来る。
罪は許されず罰は赦されない。しかし人には手を差し伸べる事が出来る。
業は決して終わらない。しかし人には悲劇を打ち破る事が出来る。

「お前の世界は終わらない!!!」

――だから少年は破る。悲劇を、破滅を、絶望を。
ありとあらゆるバッドエンドを少年は否定する。

「言っただろ……!!」

少年は走る。墓石のような瓦礫の山を登り、十字架のように倒れた風車の上を駆け……
並み居る死者の腕の中、ただ一人汚れを知らない手を伸ばす。
流れ星をその手で掴むように少年は手を手を伸ばし――傾いだ風車から、翼も持たぬまま……飛ぶ!跳ぶ!!翔ぶ!!!

そう――この悲劇(ものがたり)に救世主(ヒーロー)はいない。

ここにいるのはただの少年だ。

悲劇だけでは終わらせないただの偽善使い(フォックスワード)だ。



「おまえの全部抱えて、引きずり上げてやるって……!!」



人を救うのは神ではない



ましてや正義の味方(ヒーロー)などでもない



人間は……同じ人間にしか救えない――!!!






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