過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/09/01(木) 21:32:44.08 ID:v3OANEYAO
〜17〜
そして――浜面仕上と上条当麻の決着がついた頃、麦野沈利と御坂美鈴は警備員に保護され救急車にて搬送されながら緊急輸血を受けていた。
失血死寸前であった麦野と共に、美鈴がそれに付き添う。
麦野の血塗れの左手を握り締めながら、冥土帰しの病院を目指して。
麦野「……フー……フー……」
美鈴「沈利ちゃん……」
雨に濡れたアスファルトを照らす赤いランプ。そして目に痛いほど白々しい車内の光を浴びて――
麦野はさせるがままにその左手を握らせている。拒むでもなく。
酸素マスクに浮かぶ白露が一呼吸ごとに浮かんでは消え……
その上にポタポタと美鈴の涙がこぼれる。説教したり叫んだり泣いたり忙しい女だと思いつつ。
麦野「……そんな顔されても困るんだけど」
美鈴「ごめん……なんか、安心したら涙出て来ちゃって……あははは」
麦野「――そう」
反対に麦野は涙を零さなかった。車内にあって雨のせいにも出来ず、また上条もいないためだ。
麦野は上条のいない所では決して泣かないと決めているからだ。
美鈴「実はね……」
麦野「………………」
美鈴「土砂降りだったからわからなかったろうけど……本当は漏らしちゃった」
麦野「………………」
美鈴「ダメな大人よね、私って本当に」
しかし――麦野はそれを笑い飛ばさなかった。昔ならば破裂した笑い袋のように腹を抱えて転げたろうが……
麦野はそんな美鈴を馬鹿になどしなかった。ただ左手を握り返す事でそれに答える。
麦野「……そんな事ねえよ」
美鈴「えっ……」
麦野「私は……あんたみたいになれない」
本当に弱い人間は、漏らしたなどとわざわざ言わない。
余計な荷物(むぎの)など背負わず自分だけ逃げられるだろう。
銃を持った男達の前に膝を屈しても誰も責めはしない。
しかし美鈴はそのどれにも当たらなかったのだ。
美鈴「そりゃこの歳でチビっちゃうのは……ってそれはこっちの台詞なんだけど?」
麦野「……ちょっと誉めるとつけあがる所は娘そっくりね」
美鈴「うふふふ……もしかして反抗期?」
麦野「巫山戯けろ。私はもう十八だ」
美鈴「じゃあまだまだ子供じゃない?」
麦野「……チッ」
美鈴「ふふふっ♪」
――『心』で負けたのは美鈴で二人目だとは、言わなかった。
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