過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/07/14(木) 21:13:11.44 ID:1DwrXIIAO
〜9〜
次から次へと舞い込む事件にも関わり合いを持たず、もっと平々凡々としていられただろう。
少なくとも現在の生活に入って食べる楽しみを見出し、ああだらしないと思いながらシワのついた洗いざらしのシャツにアイロンをかけるような日々。
少なくとも――愛すべき退屈を持て余す平穏が麦野と上条にもあったろう。
しかしそうはならなかった、ならなかったのである。
麦野「(――今だって人並み以上に幸せなんだ。人殺しにゃ勿体無いくらい)」
麦野は優しい世界というものを信じない。みんなが笑って迎えられるハッピーエンドに対し……
否定的でこそないものの懐疑的であった。少なくとも、諭されて受け入れる余地など毛ほどもない。
麦野「(――なのに、私はこれ以上何を求めるって言うんだ)」
富める者の悩みと言ってしまえばそれまでだが、麦野にとって幸せというものは押し通したエゴの上に成り立つものだった。
例えば麦野が御坂を嫌うのには、気質や性格の方向性以上に……
もう入り込む余地のない恋に、未だにいじましい思いを捨てない御坂の一途さである。
例えるならばフルーツバスケットで選ばれた自分が、ゲームが終わるまで選ばれずにずっと呼ばれるのを待っている子供を見るようないたたまれなさ。
麦野「(誰にも譲るつもりのない椅子取りゲームに乗ったんだろ。譲る気も渡す気も分けるつもりもねえのに悩んでるフリしてるんじゃないわよ。無駄にデカい胸なら張れよ性悪女)」
麦野はインデックスが上条に懸想している事を当然知っている。
インデックスと出会った時から既に上条と麦野は付き合っていた。
これがフルーツバスケットならばズルと謗る者もいるだろう。
それでも最初から勝ち目などないゲームにインデックスは乗ったのだ。
麦野「(……なんか上手く結べないわね。最近、また大きくなってきたし……食欲の秋だからって食べ過ぎたか?)」
服の中でほどけた紐ブラを脱がずに結び直すのはかなりの手間である。
本来、麦野とインデックスの関係性は絡まった紐のように複雑を極めていておかしくないものだ。
記憶を失い続けて来たインデックスの、『何度目かの初恋』を殺したのは麦野なのだから。
しかし――インデックスは先程のように沈み込んでいた自分をあんな風に励ましてさえくれたのだ。
誰かの涙の上に成り立つ笑顔しかない世界にあって、インデックスの笑顔は麦野が持てない唯一の力を秘めた微笑だった。
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