過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
1- 20
775:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/09/05(月) 21:21:05.44 ID:r59ePYOAO
〜一方通行〜

一方通行「夜明け……か」

一方通行はビル群の彼方より登り行く夜明けを見上げながら『仮眠室』を出、雨上がりの街を行く。
カツ、カツという杖の立つ音の響きが右手に馴染むようになって約1ヶ月。
そして未だに馴染まない拳銃の握りが左手に痺れをもたらし早三日となる。

一方通行「………………」

水溜まりを避け、人通りと同じく行き交う車もないスクランブル交差点を行く。
目指す先は濡れたアスファルトの上に描かれた黒白の鍵盤を思わせる横断歩道。そしてコンビニと御坂美鈴と邂逅した郵便ポストが見える。
同時にゴミ収集所にたかるカラスの群れがガアと不愉快な一鳴きを上げた。

一方通行「(……翼か……)」

自らの身の内に目覚めた黒翼を連想させるカラスの羽根に一方通行はその優麗な白眉を歪ませる。
翼。それは昨夜断崖大学データベースセンターで目の当たりにした『光の翼』をも思い出させる。加えて

一方通行「(……なンだったンだ?あれは)」

遠目から見つめるに誰かの能力なのかも知れなかったが――
心当たりがなくはなかった。ただそれを確かめるだけのゆとりがなかった。
美鈴を逃がすべくスキルアウトらを屠るのに手一杯で。

一方通行「(……コーヒーでも買って行くかァ)」

思わず携帯電話で現在時刻を確認しようとし――そこで気付く。
ポケットに入れっぱなしにしていた駒場利徳が遺した携帯電話に。
そして……待ち受け画面の少女。打ち止めと同じような年頃の金髪碧眼の少女。

一方通行「………………」

首筋のチョーカー(電極)に手をかけ、能力が戻っているかを確かめる。
電極は正常に作動し、代理演算機能も復活している。そこで――

バギンッッ!

一方通行「クソッタレが」

その携帯電話をベクトル操作で粉微塵に破壊した。
ひとかけらの証拠も残らぬよう朝風に乗って消えるまで。粉末状になるまで徹底的に破壊する。

一方通行「――取り戻す」

それは電極の正常な機能を指してなのか、はたまた打ち止めを指してなのか……その胸の内を知る者はいない。

一方通行「――ふン――」

ゴミ漁りをするカラス。忌み嫌われる不吉な凶鳥。最低辺の存在。
何故か自分と重なって見え、一方通行は鼻を鳴らすとコンビニのドアをくぐっていった。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/1297.63 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice