過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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作者
◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/09/05(月) 21:24:06.07 ID:r59ePYOAO
〜上条当麻〜
上条「……朝か」
麦野「すー……すー……」
登りきった太陽が病室を照らし、涙の跡が残った麦野の寝顔に光を注ぐ。
上条の手を握ったまま、静かな寝息だけをゆっくりと立てて。
麦野『私は私が嫌いだけど、あんたが好きでいてくれる私はそんなに嫌いじゃない』
眠る前に話した多くの事。ポツリ、ポツリと紡がれた言葉。
普段見せない素顔と口にしない本音。今回の一件はそれなりに堪えるものがあったのか麦野は常より饒舌だった。
自己嫌悪と自己破壊と自己否定の源泉たる心の闇に飲まれまいとするように。
麦野『――もう、ガラスケース越しに世界を見るのを止めただけよ』
いっそ突き放したような冷たい声音と渇いた口調。
皆との夕食会、御坂とのお泊まり会、インデックスとのおにぎり作り、オズマランドでのデート。
そして罪業に満ち充ちた過去との対峙と、御坂美鈴という大人の存在が麦野を立ち上がらせるきっかけとなった。
麦野『背負ったものの重さは一生変わらないわ。ただ、私がそれに潰されない程度に不貞不貞しくなったってだけの話』
麦野は過去を乗り越えたとは言わず、受け入れたと言った。
御坂を守るとは言わず敵を討つという表現を使った。
そして自らを取り巻く世界に迎え入れられるのではなく、傍らに寄り添う事を選んだ。
どこまでもひねくれていて――どこかしら真っ直ぐだった。
上条「学校行かなくっちゃな……その前に家帰って、シャワー浴びて」
上条は思う。麦野は上条以外の何者も守らない。しかし美鈴との約束はきっと守るだろうと。
あの第十九学区での戦いで自らの殻を破った麦野が……
まるで生まれて初めて目にしたものを親と思い込む刷り込みのように上条を愛した麦野が――
何者の意思にも拠らず自分の意志で弱々しくも立ち上がったのならば、自分はその歩みを支えたいと思った。
上条「洗濯機回して、スフィンクスにエサやって、インデックスにメシ作って」
それが長い時間を、それも一生という時間をかけたとしても――
上条は麦野とそれを取り巻く世界の全てを守りたいとそう強く誓った。
二万五千円の指輪が、五千円のガラスの靴が、いつの日か本物になるように。
上条「――今日も一日、頑張るぞ!!!」
麦野「ブツブツうるせー!」バシーン!
上条「」
麦野「早く学校行け!……馬鹿」
――この、何度沈んでも陽が昇る世界の中で――
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