過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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801:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/09/10(土) 21:04:48.96 ID:42BNj/aAO
〜5〜

ギシッ、と白井の言葉に従い麦野はベッドの縁に腰掛けた。
微かに額に浮かぶ汗を、白井がハンカチでポンポンと当てて行く。
それをする白井にもされる麦野にも、御坂は驚きを隠せない。

御坂「(もしかして黒子って……思ってたよりずっと大人っぽいのかな?)」

ベッド側に備え付けられたミニ冷蔵庫からボルヴィックのレモンテイストを取り出し喉を潤す麦野。
御坂の知る限り、麦野の圭角に触れず意を通せるのはインデックスくらいのものだったはずだ。
上条という他の誰にも取って代われない異性を除けばの話だが――

麦野「(ただの馬鹿じゃないって事か)」

食べる?とサイドボードに置かれていた、インデックスが持ち込んだジェリービーンズの小瓶を手渡すと白井が笑顔でそれを受け取った。
そこで麦野は珍しく他人の評価に色を付けた。恐らくは三日前の自分でも聞き入れたかも知れないと。
ストンと胸に落ち腹に収まる言い回しが、自然と受け入れられた。

御坂「なんか不思議な感じね」

白井「?」

麦野「なにが」

御坂「いや、私達がこんな風に集まってるだなんてちょっと想像出来なくってさ」

ポスンと麦野の側に御坂が座り、白井がパイプ椅子に座る。
その窓辺から吹き込む風が枯れ葉の匂いを運び、穏やかな陽射しが肌に染みて行く。
麦野はボルヴィックを口に含みキャップを締めながら睫毛を伏せた。

麦野「――かもね」

白井「ここに佐天さんや初春が加われば大わらわですの!」

麦野「やめて。馴れ合いは嫌いなの。だいたいここは中坊の溜まり場じゃない」

御坂「(――ああ、そうか)」

そこで御坂は思い当たる。かつてこの病室で見た麦野の仲間らを。
後に絶対能力進化計画に絡んで彼女らと痛み分けに終わったが――
その後、いくら問い詰めても麦野は彼女らの事を語らなかった。
そして彼女らが麦野と一緒にいるのを見た事は一度もなかった。
彼女らのいた世界から足を洗い袂を分かったのかと今更思う。それは

御坂「(――この人、本当はずっと寂しかったんじゃないかな?)」

麦野が白井に向けた眼差しに、そこはかとない懐古の光を見出したからだ。



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