過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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806:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/09/10(土) 21:12:45.42 ID:42BNj/aAO
〜10〜

麦野「――――…………」

御坂「――さっ、リハビリ続けよっか?」

そう告げながら私はこの女に手を伸ばす。何かリアクション取ってよね!私一人突っ走ってるみたいで恥ずかし……
って黒子、ハンカチ食い破るんじゃないわよ。泣くな泣くなー!

麦野「……そうね」

うわっ、すっごいバツが悪そうな顔してる。きっと『いつか私に手を貸した事を後悔させてやる』とか思ってんでしょうね。
後悔なんてする筈ないじゃない。今ここで手伝わない方が悔いが残るって。
でもちょっとは効き目あったかな?それも私の気のせい?

御坂「でも第四位、あんたどうしてそんなに急ごうとするの?」

麦野「決まってるでしょ?やる事があるからよ」

御坂「……あいつ絡み?」

麦野「ふん……」

やっぱりね。私もそうかなって思ってたんだ。
だっていつものドライアイスみたいな顔立ちに汗まで浮かべて頑張ってるんだもん。
この女の真剣な表情と一生懸命な様子見てれば何となくそれ以外ないかなって。

麦野「暑い!ちょっと待って髪結ぶ!!そこの髪ゴム取ってくんない?」

白井「これですの?あら……」

麦野「……なに見てんだよ」

白井「いえ、眼鏡があったもので……これは読書用ですの?」

麦野「そうよ。悪い?」

そんな事言いながらサイドポニーに髪を器用にまとめて行く第四位。
本当だ。よく見たら眼鏡も置いてるし本もある。
どんなの読むんだろう……えーっとSweetの11月号と……げっ、アンネ・フランク!!?どんな組み合わせよ!

麦野「おい。ジロジロ見ないでよムカつくわね」

御坂「ご、ごめん……ちょっと意外でさ」

……なんだろう、この女がなんだか近くに感じられる。
今まであった見えない壁が取り払われたみたいな、そんな感覚。
有刺鉄線は代わらず敷かれてるんだけど、その先が丸くなったような……

白井「“私が私として生きる事を許してほしい”」

麦野「………………」

白井「でしたわね?」

今のってアンネの日記の一節かしら?黒子の意外な一面を見た気がする。
私も彼女の悲惨な生涯と無惨な最期くらいしか知らないけど――

麦野「……さあ、どうだったかしらねえ」

この女はこの女で、何か思う所や響くものがあったんだろうなって思う。

そして面会時間の終わりには、第四位はもう歩けるまでになっていた。

この女も、必死に色んな事に足掻いてるんだなって思った。


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