過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/09/17(土) 21:17:55.39 ID:W55C2CfAO
〜13〜
滝壺『……その時私は思ったの。むぎのは本当の居場所を手に入れられたんだなあって』
浜面『居場所――』
滝壺『うん……居場所。私の居場所はここだけだけど』
浜面『………………』
滝壺『ふれんだが前に言ってくれたの。“いつか他にも滝壺の居場所が出来るといいね”って……』
頭から奇妙な既視感を無理矢理追い払って尚、口に咥えているフィルターだけになった煙草に含まれたタールのような思いが浜面の中へとゆっくり降りて来る。
浜面『(――似てるんだ、俺とこいつとその麦野ってやつは)』
浜面は唯一の居場所を失った。滝壺は無二の居場所を喪わないためにここにいる。
そして滝壺が未だ麦野を忘れられないのと同じように、浜面も駒場を忘れられない。さらに……
浜面『(……レベル5ってバケモノも、レベル0ってゴミも、どっちも“人間”扱いなんてされてねえ……)』
見えざる相似形。あの夜対峙した魔女を怪物と呼んだ自分もまた……
ベクトルこそ正反対なれど今まで自分達レベル0を人間扱いしなかった連中となんら変わらなかった事に気づく。
ならばこの滝壺理后なる少女はどうなのだろう?
滝壺『でも、初めてはまづらと会った夜……レベル0なのに私を守ってくれた強いはまづらと、私の胸で泣いてた弱いはまづら……“人間のはまづら”を見た時』
滝壺は車酔いがひどくなったのかやや具合悪そうな顔色ながらも――
うっすらと、まぶしい太陽に目を細めるようにして微笑んだ。
滝壺『――私はこの男の子を守ってあげたいって思ったの』
浜面『……!!』
滝壺『はまづらをギュッてしてあげてた時、私はここにいるんだ、ここにいたいんだ、ここにいてもいいんだって……』
幹線道路を抜け、第七学区の中心街へと入り、ガタガタと背後の工具入れが浜面の内面と連なるように揺れる。
滝壺『あんな怖い目にあったのに、生まれて初めて男の子と一晩中お話して……それでも私はまづらは怖くなかった。私に優しくしてくれた』
浜面『お、オレは……』
滝壺『――同じだよ』
浜面『!!?』
浜面がギアを落とそうとシフトレバーに伸ばした手に、滝壺の柔らかな手が重なった。
滝壺『――あの時の私達に、レベルなんて関係なかった。同じ人間だったんだよ。はまづら』
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