過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/09/17(土) 21:35:09.37 ID:W55C2CfAO
〜23〜
麦野「………………」
滝壺「……むぎの」
麦野はその手を払い除ける事もせず滝壺の好きなようにさせる。
しかし聡い滝壺は指先から伝わる麦野の表情を瞳を閉じる事によって目蓋の裏に描き――そして告げた。
滝壺「――いいんだよ、むぎの。私がこうなったのはむぎののせいじゃないんだよ。だって私が私の居場所を守るために戦い続けて来た事だから」
麦野「……私はあんた達を使い捨ての消耗品として、死んでも結果を出させる使い潰しの道具(アイテム)として扱って来たんだぞ」
滝壺「……知ってるよ?」
麦野「だったらなんで」
滝壺「――それでも、むぎのは私達を一度だって自分のためだけに“無駄使い”しなかった」
麦野「……!!」
滝壺「私達を道具として活かす事で、私達を人間として生かしてくれたのはむぎのなんだよ」
点滴が落ちる音にならない音が空気を震わせ、薬品秋の匂いがする病室に吹き込んで来る秋風がそれを洗い流す。
滝壺は言葉を紡ぐ。限られた時の中で、残された刻の中で。
滝壺「むぎの覚えてる?私達がお別れする前の七月にファミレスに集まった時の事」
麦野「……ああ、フレンダにうちの大飯喰らいの偽ID作らせた時だったわね」
滝壺「むぎの、あの時なにか事件に巻き込まれてたよね?かみじょうといっしょに」
麦野「………………」
滝壺「あの時むぎのは私達に一言も手伝えって言わなかった。私達を巻き込まないように、きぬはたが何聞いても知らんぷりしてた。私、覚えてるよ」
麦野「……別に」
もう戻れないあの夏の日。インデックスの記憶を失わせまいと各方面を奔走していた麦野はアイテムの戦力を動員する事なく独力で事態の解決に当たっていた。
その時の麦野の横顔を見て、滝壺は絹旗に対して『私はむぎのを信じてる』と言ったのだ。
麦野「任務でもない案件に、ギャラも出ないトラブルにボランティアであんたら引っ張り出すほど私は落ちぶれちゃない。って当麻を殺しに行く時あんたら引き連れて行った私の言うこっちゃないけどね」
そうやって添えられた指先から逃れるようにそっぽを向いた麦野の横顔は……
やはりあの夏の日となんら変わりはなかった。優しくなった眼差しを除いて何一つ。
滝壺はそれが嬉しく、また羨ましく思えてならなかった。
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