過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/09/17(土) 21:36:07.56 ID:W55C2CfAO
〜24〜
カラカラとリノリウムの床面を滑り行くワゴンの音が廊下より響き渡り、二人の間に落ちた沈黙をより際立たせる。
麦野の胸の奥底にある思いが、滝壺の心の深奥にある想いが、二人の言葉が上手く声に乗らない。
滝壺「……ふれんだは表の世界に出られない。きぬはたは外の世界に戻れない。私は裏の世界でしか生きられなかった」
麦野「そうね。私らはみんなそうだった」
滝壺「それでも――お仕事がない日でも、私達よくあのファミレスに集まってたね」
麦野「………………」
滝壺「あそこはむぎのが私達を活かして、生かして、行かせてくれた場所なんだよ」
麦野はふと考える。自分は今までこんな風に腹を割って滝壺と言葉を交わした事があったろうかと。
滝壺はふと考える。自分達が今までこうして心を開いて互いと向かい合った事はあっただろうかと。
滝壺「私はまだ生きてる。むぎのがくれた命があって、私が見つけた居場所があるんだよ。だから」
麦野「………………」
滝壺「――最後に、むぎのに会えて嬉しかった」
麦野「……ッッ!!」
滝壺「……最期に、むぎのに逢えて良かったよ」
そして麦野は滝壺を『抱き寄せて』いた。入院着の肩掛けから羽織っていたピンク色のジャージごと。
滝壺もそれに応えるようにゆっくりと麦野の背中に手を回す。二度目の別れを惜しむように。
滝壺「私もむぎのみたいに大切な居場所(ひと)、見つけられたかも知れない」
麦野「うん……」
滝壺「初めて、むぎのの気持ちがわかったんだ」
麦野「……うん」
滝壺「――大切な人を守りたいって思う気持ちがあると、何も怖くなくなるんだね」
麦野「うん」
滝壺はまだ知らない。浜面と麦野が互いに殺し合った事を。
麦野は知らない。滝壺を守ったのがその浜面だと言う事を。
もし出会う形が違えば、辿る道筋が異なれば――
麦野は今もアイテムのリーダーであり、滝壺を死地に向かわせんとした果てに浜面に討たれる未来もあっただろう。だがしかし
麦野「――そうだね」
運命は変わる。変えられる。
麦野「――――私もそうだよ――――」
他ならぬ、人の手によって
麦野「………………」
今、この瞬間にも――
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