過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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893:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/09/25(日) 15:05:59.32 ID:LC5MmfkAO
〜4〜

垣根『――砂皿、テメエは施設外周部で待機。ピンセットの運搬に従事する人間から敷地内で覗かせた頭まで全部吹き飛ばせ。やり方は任せる』

砂皿『……心得た』

垣根『お前らはピンセットの探索及び奪取を最優先に。念動力系と念話能力の応用が利くお前らなら訳ねえだろ』

土星の輪の少年『了解』

心理定規『それはいいけど……貴方はどうするの?』

垣根『決まってる。網から罠まで根刮ぎ“喰い破る”んだよ』

一方『スクール』は施設に張り巡らされた防壁を突破し、そこで垣根が各メンバーに指示を飛ばした。
アイテムに先回りされたのは予想外ではあったがあくまで想定内。
垣根は揺るがない。勝利は揺るがせられない。そう語る背中が三人の目に映る。

心理定規『――信じて、いいのね?』

垣根『信じる?安い言葉使ってんじゃねえ』

ただ一人、その背中を砂皿や少年とは違った色合いの眼差しで見つめるドレスの少女を除いては……

垣根『覆せない絶望を奴等に、覆らない勝利をテメエらにくれてやる。差し出口叩く暇がありゃ頭回して身体使え』

心理定規『……行きましょう』

土星の輪の少年『了解』

砂皿『ああ』

振り返りもせず三人から離れて行く背中を心理定規は遠く感じていた。
手を伸ばせば、声を掛ければ、あの背中に届くのにと。

心理定規『(馬鹿よ……貴方は)』

あの背中はまるで、誰かに刺されるのを待っている孤独の王のようだと心理定規は感じていた。
そんな少女の横に並んで歩く少年はと言えば――

土星の輪の少年『――信じよう』

心理定規『………………』

土星の輪の少年『こんな暴力と裏切りの世界の中でも……あの人が僕等の信頼や期待を裏切った事なんて一度だってなかった』

去り行く垣根の背中に寄せられるそれはやはり信頼だった。
幾度とない屍の山を、何度とない血の河を、垣根は彼等を率いて越えて来たのだから。

土星の輪の少年『そんなあの人だから――僕等はあの背中に全てを託せたんじゃないか』

心理定規『――そうね』

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

二度目の爆発が火柱を昇らせ施設天蓋を吹き飛ばす。
それが号砲の合図となり、応報の烽火となって空を焼き尽くした。

心理定規『――彼は、そう言う男だったわね』




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