過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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92:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/14(木) 21:39:34.72 ID:1DwrXIIAO
〜25〜

美鈴「そう……貴女が詩菜さんが言ってた……“むぎのしずり”さん?」

麦野「はい。詩菜さんとお知り合いなんですか?」

美鈴「同じプールジムのお友達なの。知り合ったのは大覇星祭の時なんだけどね」

麦野「(あの時か)」

大覇星祭が行われた際、麦野は機を逃さず上条の両親に挨拶し――
なんとその後学園都市内を案内までして見せるという抜け目ない行動をとっていたのだ。
特に『相手方の母親を味方につければ9割勝ったも同然』という、女特有の合理的判断を麦野は容赦なく行使した。
この辺りがどんなに大人びていても中学生の御坂と……
生き馬の目を抜く仁義も信義も大義もへったくれもない、上条のフラグを折り続ける戦いに身を投じ続けた麦野との絶望的な経験値の差である。

美鈴「そっかあ……貴女がねー」

麦野「(面倒臭い女……)」

美鈴「詩菜さんが言ってたわ。とってもいい子が当麻さんと仲良くしてくれてる、って。よく話してるの」

麦野「(似た者親子ってか)そうなんですか?」

美鈴「ええ、子供達の事なんかよくね。最近だと学園都市が危ないから、どうにかして連れ戻せないか……なんて暗い話題も多いけどね!だいたいいつも貴女達の事よ♪」

御坂「スー……スー…」

最近、回収運動があって今日もその保護者会の集まりと陳情に……
と続ける美鈴の膝の上には未だに眠り続ける御坂の姿があった。
麦野はそれを見下すでもなく、表面上は普通の顔をしながら冷めた眼差しで見やる。

麦野「(無理よ。この瓶詰めの地獄からは誰も逃げられない)」

そんな事は無理だと。逃げて安全な場所など学園都市に限らずどこだろうとそんなものはないと――
口には出さずミネラルウォーターと一緒に言葉を飲み込んだ。
麦野はそんな自分を心底性格の悪い女だと静かに自嘲した。

麦野「(親子揃って人が好いというか……おめでたい連中。死刑囚の釈放運動の署名の方がまだしも確度が高い話よ、それは)」

麦野はこの学園都市の闇を知っている。知り過ぎているが故に――
美鈴や、それを取り巻く保護者らの運動が何一つ実を結ぶ事なく終わると予見していた。
最悪、無駄な実をつけて学園都市から養分を吸い取るような枝は『剪定』されると――

美鈴「ねえねえしずりちゃん?お姉さんと電話番号交換しなーい?」

麦野「!!?」

思った矢先、思わぬ矛先が麦野へ向いた。




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