過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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935:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/09/25(日) 15:57:35.71 ID:LC5MmfkAO
〜34〜

かくて少女の中に降り続けていた雨は上がった。
雲間から射し込む光の檻の中へと、自らの意志と足によって収まる事を決めて。

土御門『俺だ。アイテムは全滅、メンバーは壊滅。そうだ。スクールの垣根帝督に潰された』

今尚闇の中を歩み続ける土御門元春は携帯電話越しに結標淡希へと伝える。
連絡を受けて少年刑務所内での戦いを終えた結標もまた――

結標「そう。こっちも終わったわ。ブロックの連中もまとめてね。海原の方は??」

土御門『そっちも片付いた。このゼロサムゲームもそろそろ佳境だ。準備はいいか?』

結標「こういう犬の共食いをドッグ・イート・ドッグ(同業者の潰し合い)と言うんでしょうね。いいわ、戻りましょう。あの闇の中へ」

己が過去を乗り越え、闇の檻から抜け出す。背後から届く仲間達の声に後押しされるようにして――

心理定規「行くの?砂皿」

砂皿「ああ。垣根帝督から新しいオーダーが入ったからな……お前は?」

心理定規「私はここに残るわ。“彼等”の戦いに割り込める余地も入り込める戦力もないし、止めるつもりもないのだから待つより他にないしね」

砂皿「そうか」

一方、心理定規と砂皿緻密はスクールの隠れ家にいた。
スーツケース片手に部屋を出て行こうとする砂皿……
そんな男の後ろ姿を、心理定規はメンバーから自分を庇って死んだ少年のヘルメットを膝に乗せソファーに腰掛けつつ見送る。

心理定規「男って馬鹿ね。一人の例外もなく」

戦場を渡り歩く傭兵たる砂皿、闇に堕ち若き命を散らした少年、己が野心のために学園都市に反旗を翻した垣根。
中でも砂皿より先に部屋を後にした反逆者との心の距離はドレスの少女をして縮める事さえ叶わない。
一晩を共に過ごしながら指一本触れてこなかったあの男の心には何者も存在していなかったのだから。

心理定規「――馬鹿は、私の方かしら」

心理定規には予感があった。部屋を出て行く際のあの不敵な笑顔が……

心理定規「……鳴らない電話を、いつまでも待ち続けて」

何故だか扉の向こうに広がっていた光の中に消えて行ってしまったような気がして――




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