過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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937:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/09/25(日) 16:00:07.30 ID:LC5MmfkAO
〜36〜

かくして10月9日、学園都市独立記念日に勃発した暗部抗争はここに終結した。
各々の胸に墓標を、礎を、爪痕を、誓いを刻んで。
ある者は一縷の光を見出し、ある者はより深い闇に飲まれて。

青髪「――どないするん?あの子ら“ドラゴン”の尻尾に辿り着いたみたいやけど」

《何も問題はないよ。何もね……》

青髪「ふーん。相変わらず余裕綽々やね」

そして闇でも光でもない無の空間に揺蕩うは聖人にも囚人にも、男にも女にも、子供にも老人にも見える――
最高の科学者にして最悪の魔術師、最強の超越者にして最低の人間。
フラスコの中の小人(ホムンクルス)と神託機械(オラクルマシーン)が向かい合う。
二人を隔てるビーカーのガラス以上の隔絶を挟んで。

青髪「……“左方のテッラ”はカミやんの秘密に気づきかけたみたいやけど?」

《彼が死した今それを証明する者もいないだろう。そもそも“彼等”の求める世界の有り様と、私の目指す世界の在り方はフォーマットが異なっているからね》

青髪ピアスは思う。自らの能力を以てしても見通せない者は約三つ。
それは月詠小萌の若さの秘密と、自分の未来と、目の前の人間の死。

《君の方はどうなのかね?》

青髪「何言うてるんかサッパリや」

《君が匿っているテオフラトゥス=フィリップス=アウレオールス=ボンバトゥス=フォン=ホーエンハイムの字を継ぐ者だ》

青髪「………………」

《それが君の答えか》

その問いに答える事なく返した踵と向けた青髪の背中。それが全てを物語っていた。
しかしビーカーの中の人間はそれを気にした風もなく見送る。

青髪「……さあ?せやけどこれだけは言わしてもらう」

10月9日が終わり、第三次世界大戦が始まり、人々の営みは劇的に変化して行く。

青髪「あんま、人間(ぼくら)を舐めへん方がええよ」

やがて辿り着く未来と明日と世界を目指して人々は歩み続ける。

青髪「――あんさんにどうこうされなあかんほど、僕らの世界は弱くなんてない」

《そうか》

砂を落とす事を止めた時計のような『人間』だけを残して――




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