過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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944:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/09/25(日) 16:08:49.80 ID:LC5MmfkAO
〜43〜

御坂10326号「寒くはございませんか?とミサカは膝掛けを携えてお客様の身体を気遣います」

滝壺「私は大丈夫。ありがとう」

同時刻、滝壺は第十学区にある立体駐車場にも似た墓地のあるビルの待合室にあるソファーに座っていた。
何故彼女一人きりかと言うと……たった今、浜面が射撃演習場を模したような墓石に献花を供えに行っているからだ。
遺骨も違灰も遺髪もない名前だけ刻まれた駒場利徳の墓。
ここの係員を勤める『御坂美弦』なるプレートを胸につけたフォーマルスーツ姿の妹達の一人に案内されて。

御坂10326号「そうですか。何かあればお声掛け下さい、とミサカは一礼して受付に戻ります」

妹達(シスターズ)の中にも次第に個性の細分化が顕著となり、御坂妹のように笑顔というものを覚えた個体もいれば――
10031人の死を悼み、その意味を考えるためにこうして墓守を担う個体もいる。と

ガコンッ

滝壺「……お疲れ様、はまづら」

浜面「ああ」

そこで自動ドアが開き、浜面が姿を表した。その手に携えられていた花はなく、代わりに無形の何かを手にしているように滝壺には感じられた。

浜面「終わったよ」

滝壺「――うん」

浜面「じゃ、食事会行くか。何買ってく?」

滝壺「しゃぶしゃぶのお肉」

浜面「!?」

駒場利徳の死と月命日の墓参を始めてより約一年。それは二人が出会ったあの夜から一年経ったという事でもあり……
流石に浜面の目にも涙が伝った跡や充血した様子もないが

滝壺「しゃぶしゃぶのお肉食べたい。こういう時以外むぎの達やみんなと会えないから、ちょっと贅沢」

浜面「(しゃぶしゃぶ……エロい響きだ)」

滝壺は知っている。浜面の流した涙、二人が出会ったあの夜。
故に滝壺は浜面と手を繋いで墓地を出る間際、一礼する御坂10326号とその向こう側にある――

滝壺「(ありがとう。これからもはまづらを応援してくれたら嬉しいな)」

骨も灰も残らぬままこの世を去った駒場利徳の幻影に対して滝壺は黙礼を送った。
AIM拡散力場を透かし見るように、上り詰めた『9人のレベル5』の八番目の能力とはまた違った不可思議な力で。

浜面「……また来るぜ。駒場のリーダー」

居場所を守ろうとした男の眠る場所を後にし、居場所を失った少年と居場所を求めた少女は共に歩み出す。二人で見つけた居場所に帰るために――




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