111:1 ◆BycwRokz6k[sage]
2011/11/21(月) 01:27:49.09 ID:49jKwMrN0
こうして嫌悪感をあらわにして睨んでも、宿海は怯まない。
すげえな宿海。おまえ、すげえよ。どうしたんだよ、この前はすれ違っただけで肩震わせてたのによ。こんな短期間のうちに、何がお前にこんな度胸あたえたんだ?
めんまの姿が、半分以上宿海で隠れてしまった。けれどめんまの瞳が涙を生み出そうとして潤んでいるのは見えた。
きらりと、もう瞬きをすれば落ちてしまいそうなくらいに涙が溜まっている。
「ゆきあつ・・・お前、どうしたんだよ」
「どうもしてない」
「・・・めんまが・・・っ「めんま」
宿海の発言を押し切り、めんまを呼ぶ。
宿海の後ろでびくりと肩を震わせためんまは、ついに瞳から涙を零した。
ぽつり。
「めんまは俺のところにきたんだろう?」
「っ!!!」
俺の言葉に、めんまはまたも肩を震わせた。
「一番最初に、俺のところに来たんだろ」
めんまは何も言わない。
「もういいだろ」
満足だろ?
そう付け足す。
めんまは何かを言いかけて、やめた。
「帰ろう、めんま」
「おい!ゆきあつ!」
「・・・」
めんまが、そっと宿海の服の端を握った。
それに気づいた宿海がめんまを見下ろすと、めんまは首を2,3横に振る。
「な・・・」
ごめんね、じんたん。
めんまは呟いて、宿海の服から指を離した。
「めんまねっ・・・!皆と会えて、楽しかった、よ」
宿海という盾を通り過ぎためんまは、俺に腕をひかれるままこちらに来た。
しいんとした空気は、宿海の張り上げた声でいっぱいになる。
「めんま!!!」
よし、これでいい。もう宿海は相手にしなくてもいい。
俺はくるりと、開け放してある入り口に向かった。
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