262:LX[sage saga]
2011/09/24(土) 19:42:36.20 ID:8UQIM93d0
寝室。
「麻美? 寝たか?」
「いえ、起きています」
小さな声で、当麻と麻美がささやきあう。
「一麻は寝たようだね」
「ふふ、嬉しそうな寝顔です……美鈴お母様はこういう顔を何度も見ていたのですね、羨ましい」
そういいつつ、麻美は眠る一麻の髪と頬を優しく、でも彼が目を覚まさない程度に撫でている。
彼女の顔には、ようやくまた、息子に会えた母親の喜びが溢れていた。
「お前だって、子供の頃は見ていたはずだろ?」
「それは、もちろん……でも、あなたは殆どいなかった」
かすかに恨みがましい声になる麻美。
うっと言う感じでつまる当麻。
「それは……仕方ないだろ?」
「ええ、わかっています……。この子を挟んで、こういう形で寝ることを『川の字』と言うのですね……
あの子だけでなく、このミサカの願いでもありました」
独り言のようにささやく麻美。だが、その言葉は当麻にグサグサグサと突き刺さる。
アラブの王様もかくや、というようなスーパーキングサイズのベッド。枕は硬軟2タイプが3人分用意され、6個が並ぶ。
一麻は「こんな大きなベッドみたことないよ!」と興奮して、両親に向かって枕投げを挑み、あえなく撃沈された。
そして、自分を真ん中にして両親が挟み込む『川の字』で寝たいと言い張り、ようやくのことで彼は眠りについたのであった。
「そうか…まぁ、そう何度も出来ないけれどな……」
「あなた、そういう寂しいことを言わないで下さい」
「すまん」
「それで、これからどうするのですか」
「そうだな、ちょっと話しようか? あっちに行こう」
一麻を起こさないようにそっとベッドから起き、メインルームへ向かう二人。
1002Res/1293.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。