314:LX[sage]
2011/10/15(土) 19:36:50.44 ID:VwwVKaJh0
「ただいま」
「……おかえりなさい」
二人はちょっとぎこちない挨拶を交わす。
「ちゃんと守ってくれてるのね」
ふっと視線をそらしながら美琴が言う。
「お、おう。もうすっかりクセになってるからな。順番間違えるとなんか調子狂うしさ」
「ならいい」
そういうといきなり美琴は当麻にしがみついた。
「お、おいおい、どうしたんだよ」
彼女は答えない。黙ってぎゅっとしがみつくだけである。
「黙ってちゃわかんねえだろ? なんかあったのか?」
黙ったままの美琴。
顔を背けて埋めるかたちなので、当麻からは彼女の顔が見えない。
「……」
致し方なく、当麻も黙ったまま美琴の身体を抱きしめる。
その柔らかさに一瞬昨日の麻美のことを思い出すが、瞬時にその妄想は消えた。
(泣いてる……のか?)
ほんのかすかに、嗚咽が聞こえる。そう言えば美琴の肩は僅かに上下している。
(なんで泣いてるんだ……誰がこいつを)
その瞬間に彼は漸く理解した。
(オレ、か……原因は)
当麻は今更のように自分の愚かさを呪った。
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