398:LX[saga sage]
2011/12/03(土) 20:01:33.36 ID:7DoxxPIR0
「ちょ……」
「これはこれは、お姉様<オリジナル>。ご無沙汰しています」
美琴の姿を認めた二人のうち、一人のミサカがいつもながらの端正な顔<クールビューティ>を変えずに、慇懃無礼という感じで会釈する。
「ちょっと、なんでアンタたちがここに来てるのよ!?」
美琴の声が険しくなる。
手伝いに来るのは自分だけだったはずなのに、という思いがあっけなく崩されたこと、
昨日の夜、あんなことこんなことを一人で勝手に想像をたくましくして、そのあげく寝付けなかったことを思いだし、
独り相撲を取っていた愚かな自分を彼女は呪った。
( 期待した自分がバカだったわね…… )
そして、目の前にいるのは、よりによって自分のクローンであり、しかも当麻<アイツ>に好意を持っている御坂妹であること、
そしてどういうわけかもう一人のミサカがいることに、美琴の血圧は上昇する。
「ミサカは頼まれたのです、お姉様<オリジナル>」
御坂妹ではない、もう一人のミサカが冷静に答えるが、その冷静さが更に美琴をいらだたせる。
「アンタ、何番だっけ?」
「このミサカは10039号です。髪型も変えてるのに……お姉様<オリジナル>にも見分けが付かないのかと、小一時間ミサカは」
「一人で好きにしゃべってなさいよ、えーと、10039号だっけ? で、頼まれたってアイツから?」
ぐいと美琴は検体番号10039号の前に身を乗り出す。
「正確にはこのミサカがあのひとから頼まれたのです、
とミサカは目を血走らせているお姉様<オリジナル>の魔の手から10039号を救うべく助け船をタイミング良く出します」
今にも10039号に掴みかからんばかりの美琴に対して、
右手の手のひらを立てた検体番号10032号はもう一人のミサカを庇うかのように美琴の前に立った。
「おーい、御坂妹〜、どこに居るんだ〜? ちょっと来てくれ〜」
部屋の中から当麻の声が聞こえた。
「ちょっとどきなさいよ!」
怒髪天を突く勢いで御坂妹と検体番号10039号の間を押しのけて、美琴は部屋に飛び込んだ。
「ちょっとアンタ!」
飛び込んだ美琴は段ボール(を抱えた当麻)と思いっきり正面衝突した。
「ぐわぁっ!」
「キャッ!」
ドンと美琴はしりもちをつき、段ボールは同じく倒れた当麻の上にドスンと落ちる。
「いったーい……」
「うぅ……不幸だ……」
二人とも直ぐには起きあがれない。
「あなた!」
「お姉様<オリジナル>!」
妹達<シスターズ>の二人が飛び込んでくる。
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