461:LX[saga sage]
2012/01/09(月) 20:21:55.53 ID:dFjfvc2t0
モノレールの駅で彼は列車が入ってくるまで北行き・南行きどちらのホームに上がるか解らないようにコンコースに立つ。
「まもなく、列車が参ります」
南行きの列車が入ってきた瞬間に彼はエスカレータを駆け上がる。
南側に張っていたのだろうその後をやはり1人が追いかける。
当麻は列車に飛び込んだ瞬間、扉が閉まった。車内にいた数人の乗客は(あぶねーなぁ)という顔で当麻を見る。
気が付くと、追いかけてきた1人はホームドアに遮られ乗れず、ホームで悪態を付いていた。
はぁはぁと荒い息をつきながら、当麻はホッとする。
モノレールは鋭い加速で駅を出ると、「次は3丁目です」という案内放送が流れた。
彼は携帯メールを指定された番号へ打電した。
そして2つ目、「断崖大学前」の駅で、今度は扉が閉まりかけたその瞬間、彼はホームへと飛び降りる。
危ないギリギリのところで、当麻の身体はホームドアに挟まれずに済んだ。
走り出す車両を眺めていると、1人の男がこっちを睨んでいたのが見えた。
乗車した5丁目駅のホームにあらかじめいて、彼がエスカレータを駆け上がってきた時に何喰わぬ顔で先に乗り込んで張っていたのだろう。
(急がないと、追いつかれちゃう)
彼は脱兎の如くエスカレータを駆け下りてゆく。
改札を抜け、交差点を渡ったところにあるコンビニの駐車場で、手を振る女性の姿が見えた。
白ベースに赤のツートーンの上下。跨っているのはどうやらホンダのCBRのようである。
「おはよう御座います、上条当麻さん。 お待ちしておりました」
それは、嬉しそうな、しかし少し緊張した顔のミサカであった。
「あ、ああ、おはよう。えっと……ミサカってことは、その」
「ハイ。このミサカは検体番号10039号です。覚えておいて下さいね! とけなげなミサカは懸命に当麻さんにアピールします!」
勢い込んでそう言いながら、彼女、10039号は当麻にヘルメットを渡す。
「その……ミサカ、君はバイク運転できるんだ?」
メットを被りながら彼はミサカに確認をする。美琴も御坂妹もバイクは運転できない。
「その質問に答える前に、済みません、ミサカは連絡を入れなければなりません」
そう言いながら彼女は胸のポケットから小型携帯を取りだし、ちょいちょいと弄ったあと、再びポケットにしまった。
見つめる当麻の視線に目を合わせたミサカ10039号は、口元に少し微笑みを浮かべて、
「お姉様<オリジナル>です。『合流しました、出発します』という定型文を送ったのです」と言い訳がましく言った。
そして、間髪入れずに彼女は当麻のメットの中の脇に指を入れ、スライドスイッチをオンにする。
「このメットにはインカムが装備されています。これから通話チェックを行います。宜しいですか?とミサカは確認を取ります」
「ああ、良く聞こえるぞ?」
当麻が答える。
「このミサカは、車両を用いた戦闘実験が予定されていましたので、陸上の軍用車両の殆どを扱うことができるのです。全く問題はありません」
真面目な顔で、ミサカ10039号は先ほどの答えを返す。
思わず、当麻は唸ってしまう。
あの貨物操車場での、一方通行との死闘。
瀕死の御坂妹、10032号の姿が脳裏に浮かぶ。
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