492:LX[saga sage]
2012/01/29(日) 19:58:26.27 ID:HEl0hJis0
「検体番号19090号は優雅に朝からスパを楽しんでいるというのに……このミサカはあれだけ働いたのに」
ブツブツと文句を言いながらバタートーストをかじる検体番号10039号。
しかし、彼女の顔は言葉とは逆に明るい。
「何を言っているのですか、検体番号10039号? 貴女は他のミサカには出来ない経験をしてきたではありませんか?」
ムッとした顔で彼女を睨む御坂妹。
「そうかもしれませんね。週末のツーリングの約束も取り付けたことですし、とこのミサカはライバルを一歩出し抜いた満足感に浸ります」
うふふ、という顔で笑みを浮かべる10039号。
「それは聞き捨てならない発言です、とミサカは詳細を聞くべく身を乗り出します」
なんですって? と言う顔で10039号を見つめる御坂妹。
「それはこのミサカのプライベートな事ですから、他のミサカに広く周知徹底するようなまねは慎むべきと考えます」
斜め上を見て、知ーらないっと、と言う顔をする10039号。だが、御坂妹は、彼女の顔に自慢げな笑みが溢れていることを見逃さない。
「貴女はこのミサカに一宿一飯の恩義があります。ですからこのミサカにはその話を聞く権利があると声を大に主張します」
「一宿はしていませんが、一飯と一風呂の恩義はあるかもしれません、とミサカは冷静に答えを返します」
そう言い返した10039号は、御坂妹の顔を見つめる。
「ほほう? 検体番号10032号の頭には血が上っているようですね。先ほどよりは随分血の巡りが良くなっているようです、と派遣労働者のこのミサカは看護士の検体番号10032号の体調の変化をチェックしてみます」
「その言い方……貴女はこのミサカが羨ましいのですか?」
無表情の御坂妹が10039号を睨み付ける。
「……羨ましいに決まっています、と検体番号10039号は冷たく言い放ちます」
少しの間をおいて、そう答えた10039号はバスタオル1枚の姿のまま席を立ち、浴室の方へ歩いてゆくと、携帯を持って帰ってきた。
「ですから、このミサカには、検体番号10032号を羨ましがらせる権利があります」
そう言うと、彼女は携帯からスクリーンを引き出し、そこに絵を映し出す。
そこには、あのひと、ヘルメットを小脇に抱える上条当麻と、レーシングスーツ姿の検体番号10039号が並んで立っていた。
……但し、二人の間には、すこしひきつった顔の御坂美琴<お姉様>が割り込んでいたが。
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