522:LX[saga sage]
2012/02/12(日) 19:37:57.21 ID:hKj2xVWl0
(し、しかし、ここは落ち着かねーよ)
ここは雲川芹亜の家。
広大な応接間にぽつんと一人、彼は座っていた。
(学園都市に、こんなところがあるなんて知らなかったよ……)
雲川芹亜。
聡明で、美人で、しかしどこかに陰のある、謎の女子高生、と噂されていた彼女。
何回か彼女とは話をしたことがあるが、詳しいことは結局解らないまま彼女は卒業してしまい、いつしか記憶の中のひと、になっていた。
あの後、
「話がある。私の服を汚した代償に付き合ってもらおうかな」
と言われ、いつ来たのか、学生街のラーメン屋の前に停まっていた廻りの風景に全く不釣り合いなキャディのリモに押し込められた。
静かな車内では、彼女は一転して目を閉じて黙って座っており、その雰囲気に当麻も黙って座っているしかなかった。
リモは第五学区から高速に入り、第一学区を通り過ぎて第八学区へと入って高速を下りた。
「先輩は、ここからあそこ(高校)まで通っていたんですか?」
どうにもこの沈黙が耐えられず、話の種のつもりで当麻は彼女に言葉を掛けた。
「そうよ」
閉じた目を開くこともなく、彼女は短く答えた。
「結構遠かったんじゃないですか? ここら辺からだと」
「大したことないわ」
静かにして、とでも言いたげな彼女の返事に当麻は再び黙るしかなかった。
しばらく走ったあと、リモは大きなマンションの中に吸い込まれた。
「お疲れ様。着いたわ」
ようやく目を開けた彼女はかすかに微笑んで言った。
「ようこそ、上条当麻。わたしの家に」
家に入ると、「着替えてくるから」と言い残し、彼女はどこかへ行ってしまった。
かくして、彼は一人、(リモの中にあった)ミネラルウォーターのペットボトルから水を飲みつつ、手持ちぶさたにボトルを弄り廻していたのだった。
「お待たせしたわね」
その声に振り向いた当麻は絶句した。
ぴちぴちの胸が大きく開いたシャツと、これまたぴちぴちのスパッツという、体型がもろに出る扇情的な出で立ちであったからだ。
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