602:LX[saga sage]
2012/03/18(日) 20:05:09.74 ID:s0xKUm7/0
そして、1ヶ月ほどしたある日。
「当麻か? 酷いじゃないか、婚約したんだって?」
それは、当麻の父、上条刀夜からの電話であった。
「う、どっからその話聞いたんだよ?」
「なんだ、やっぱり本当なのか。いや、母さんがな、昨日、その、お相手の方の、ええと『みすずさん!』そう、美鈴さんからその話を聞いたんだそうだ。
お前、あちらさんのお家に、その、御坂さんのお嬢さんと一緒にお邪魔したそうじゃないか? もう『あなた、代わって!』お、こら!」
いきなり、母・詩菜の声が飛び込んでくる。
「当麻なの? ちょっと。あなた、母さんに黙ってたって、どういう事なの? わたし、大恥かいちゃったじゃないの!?
当麻さん? いいこと? 直ぐに帰ってらっしゃい! 出来れば、そのお相手の、御坂さんも一緒によ!
まったくもう、どうしてウチの男どもは、こうわたしを蔑ろにするのかしら!? ああ、もうホントに腹が立つわ! 情けないわ、わたし」
激怒モード全開でまくし立てた母・詩菜が鬱モードに転じた隙に、当麻は叫ぶ。
「か、母さん、わかった。今度美琴連れて帰るから! また後で電話するから! ちょっとこれから面接なんで、ごめん!!」
そう言って電話を切る。
すぐさま、リダイヤルが来るか、と思って彼は待機したが、どうやらあちらで何やら始まったのだろう、電話はかかってこなかった。
「……不幸だ……でも、確かに、うちに連れて行ってないよな……いっぺん連れて行かなきゃなんないな」
しばらくして、当麻は美琴にメールを打つ。
(今度、俺の実家に行って欲しいんだが、どうだろう?)
しばらくして、当麻の携帯に音声着信が入る。もちろん、美琴である。
「いつ行くのよ?」
いきなりのど真ん中ストレートから会話が始まった。
「い、いや決めてないけど、お前の都合もあるしさ。って、お前、全然動揺してないけど、知ってたのか?」
「フン。いつになったら、アンタは私を正式に御両親に紹介してくれるのかなーって、ずーっと待ってたんだからね、この鈍感!」
「はぁぁぁ? バカやろ……それだったら、早く言ってくれよ、俺、母さんに怒鳴られちまったし」
「なによ、そんなはしたないこと、女の私から言えるわけないじゃない。アンタってホント、そういうところは鈍いんだから!」
容赦ない美琴。とはいえ、声には明らかに嬉しそうな喜びの色があったことで、当麻は少し安心するが。
「じゃ、日程決めようか、いつなら良い?」
「そうねー、出来れば大安の日が良いなー、えっと……」
「お前、そう言うところはえらく非科学的なのな」
「うっさいわね。私自身は気にしなくても、こういうのを気にする人はいるってことなの。今週と来週はダメだわ……さ来週の木曜がいいわ」
「わかった。じゃ、その日開けといてな? 俺は問題ないし。家に言っておくから」
……しかし、それどころではなくなる日がその前にやってくることを、その時の二人は知るよしもない。
彼らの人生を一変する、運命の日が。
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