626:LX[sage saga]
2012/04/01(日) 20:06:56.25 ID:asRSIU/H0
「すいません……」
冥土帰し<ヘヴンキャンセラー>の異名をもつ、カエル顔の医者の気迫の前に、当麻の頭に上った血がすっと下がる。
「思わず、カッとしてしまいました……もう大丈夫です」
「水だ。頭を冷やすにはこれもいいだろうさ」
カエル顔の医者は当麻に冷えた水の入ったカップを渡し、青い顔の御坂妹にうなずいてみせる。
「レモン水だけど、きみもどうかな?」
しかし、蒼白な顔の彼女は、力無く僅かに顔を左右に振り、視線を下へ落とした。
当麻は一息で飲み干すと、顔を上げていないままの御坂妹に向かって問いただす。
「御坂妹?」
呼ばれた瞬間、彼女は当麻を見たが、再び視線を床に落とす。
「俺は今、お前に対して怒ってる。お前の言ってる意味がわからねぇ。
お前、何を、何を勝手なことを言っているんだ? 今さら何を言ってるんだ?
いいか? お前は、もう、あいつの、美琴の幸せを、夢をぶち壊したんだぞ? わかってるのか?」
「……言わなければわからないことではないですか?」
彼女が反発するが、その声は、まるでつぶやくかの如く、小さい。
「お前、俺に、あいつにウソをつき通せというのか?」
再び当麻の声が大きくなる。
「言ったではないですか、これはお前と俺の秘密だと。死ぬまで黙っていろと、私に仰ったではないですか?」
キッと顔を上げ、当麻を見すえて叫ぶ御坂妹。だが、その言葉に覆い被せるように当麻が怒鳴る。
「勝手にいいとこ取りをするな! 一度きりの過ちだから黙っていろと言ったんだ!
……それであれば、黙っていれば済んだ。お前と俺、二人だけだからな。でも、子供が出来たのなら、三人だろうが。
その子には、俺にも責任があるんだよ、御坂妹。俺は、その子の父親になるんだ。俺は、その子を父無し子にはしたく、ない」
後の方は、自分に言い聞かせるかのような当麻の言葉。
しかし、御坂妹は。
「かまいません、わたしは、この子を育てます。あなたは、お姉様<オリジナル>と幸せになって下さい。それが私の願いです」
「お前……どこまで身勝手なんだ……? お前、自分一人で子供育てられると思ってるのか?」
「やってみせます!」
「出来るわけないだろう!?」
「出来ます!」
「なら、勝手にしろ! もうわかった! 好きにしろ!!」
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