701:LX[sage saga]
2012/05/06(日) 22:45:17.73 ID:RpQV+FS/0
美琴は、その後もずっと眠り続け、翌々日の昼過ぎに漸く下へ降りてきた。
「お腹減ったんだけど……」と、ふらふらしながら顔を赤くして決まり悪そうに言う美琴に、二人は口々に叱りつける。
「いくら何でも寝すぎじゃないか? ああ、いいから先に風呂に行ってきなさい」
「年頃の女の子がなんてザマなの? 恥ずかしいからさっさと身体洗ってきなさい!」
「えー、それどういう意味? まさか匂ってる? 臭いの? やだ、恥ずかしいっ!」
風呂場へと走り込む娘を見て、二人はほっと顔を見合わせた。
「あー、生き返った……」
湯上がりの上気した顔で、パジャマ姿の美琴が居間に戻ってきた。
おとといの、死人のような青白い顔が消えていることに、二人はとりあえず安堵した。
「お腹減ってるっていうから、とりあえずトースト焼いておいたわ。夕飯までそれでもかじってなさい」
「うわー、良い匂い、美味しそう!!」
目を輝かせて、バターをざっくりと塗りたくると、大きく口を開いてかぶりつく。
「おいひぃー、ほれ〜♪」
幸せそうな顔であっという間に1枚を平らげる美琴。
「何か飲む?」
「とりあえず、冷たい牛乳がいいな」
「お腹冷やすわよ? 暖めた方がよくない?」
「大丈夫だってば」
1gパックのムサシノ牛乳を美鈴が持ってくる。
「あはは、そうそうこれこれ。一時期飲んだなぁ、これ……。母さんね、これ飲むと胸がおっきくなるって話知ってた?」
「そうなのか?」
「やだ、お父さんのエッチ。何聞いてるのよぅ、都市伝説だってば〜」
家に着くまでの愁嘆がウソのようにはしゃぐ娘を見て、旅掛は狐につままれたような顔をする。
「そうなの?」
「学園都市でね、結構女の子の間じゃ有名だったの。母さん、固法先輩って知ってたっけ?」
「ゴメン、覚えてない」
美鈴も娘の異様なはしゃぎぶりに、その裏を読もうと感覚を研ぎ澄ます。
「中学の時にね、よく行ってた風紀委員<ジャッジメント>の支部にいたんだけど、胸がおっきくてね、でその先輩の飲んでた牛乳がこれなのよ。
黒子とか、初春さんとか、結構みんな飲んでたんだ〜♪ ふふふ」
「そんなもので大きくなるわけなかろうに」
「やぁだ、お父さん? イイのよそれで、みんな気休めなんだからさー。みんなで飲む、ってところがキモなのよ」
「そう言うお前はどうしたんだ?」
「えへへ、あの時は私も胸小さかったしさ、みんなに隠れてだけど一時期飲んでた、アハハハハ! でも飲み過ぎてよく下痢したな〜」
「……ったく」
「そんなもんなのよ。所詮はね、話なの。話……話で済まなかったものも、あるけど」
明るくはしゃいでいた美琴の様子が変わり、両親ははっと身構える。
1002Res/1293.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。