過去ログ - 新・学園都市第二世代物語
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729:LX[saga sage]
2012/05/27(日) 19:10:47.65 ID:IGkAb8mz0

きっかけは、些細な好奇心からだった。

「あの子、どうしてるだろう?」



病院での御坂妹こと検体番号10032号との対決の後、キャパシティダウナーの衝撃と精神疲労から寝込んだ美琴に冥土帰しはこう伝えていた。

「あの子は、ここ(学園都市)から出ることになったよ。ああ、言っておくと、これは極秘事項だからね? 

もちろん僕ら以外は誰も知らないし、妹達<シスターズ>も知らないからそこは頼むよ?

一応、聞かれた時には『医療関係の極秘事項に関わる仕事』についてもらったと言っておくから」

「あの子たちにはネットワークがありますけど?」と美琴が疑問を述べると、

「勿論対策済みさ。僕がそのことを知らないとでも?」とカエル顔の医者は笑って答えた。

*尤も、その彼も、まさか御坂妹が絶食による自殺を図った結果、彼女の生体電力を基本エネルギーとしたチョーカーが、よもや電力不足で機能を止めてしまう事態が起きるとは、このときは想像だにしなかったのだが。



気兼ねなく過ごせる東京の実家で過ごすことで、彼女の深く傷ついた心は、完全ではないにせよ、ある程度まで回復していた。

しかし、いかに彼女が優秀とは言え、半月近く大学の講義を欠席するのは危険であり、彼女は再びキャンパスに戻ったのである。

少し落ち着いてきた美琴が思うのは、当麻と御坂妹のこと。

もちろん、彼女はまだ御坂妹を許していない。許す以前の問題だ、と彼女は考えている。

しかし、その一方で、学園都市から離れた御坂妹が、今、どうしているのかには興味があった。

いや、どこかで美琴は彼女を気にしていた、と言っても良い。

何故かならば、彼女は、御坂妹は、彼女・御坂美琴自身であったから。

正確に言えば、御坂美琴という人間が持ついくつかの性格の中で、ある一つのパターンのみで出来上がっている人間、それが彼女、御坂妹であることに美琴は気が付いていた。

(あれは、あの子はもう一人のわたし、私自身だわ……)
(だから……私にはわかる。今のあの子が、どういう状況にあるのか……)

そこへもってきて、笠原女史の、あの意味ありげな発言。

(あのひとは、知っているわ、たぶん……)

何故、広報委員会にいるあの女が、あのことを知っているのか、彼女にはわからなかった。

あれほど、カエル顔の医者がはっきりと断言したことなのに、何故バレているんだろうか? と美琴は恨めしく思う。

(ま、ここでグダグダ考えてても仕方ない。まずは行動しなきゃね!)



まず最初に美琴は正攻法を取った。つまり、冥土帰し<へヴンキャンセラー>へ聞きに行ったのだ。

予想通り、彼の答えは「元気にしている、居場所は教えられない」というものだった。

本当だろうか、と美琴は思う。

でも、万一、あの子の身に何かあったら、あの先生ははっきり言うはずだ、と。

(お姉様<オリジナル>である、この私に黙っているはずがない)

まだ、彼女にはそれくらいの自負心はあったし、彼を信じる気もあった。

もう一つの疑問点、この話が他にもれていないかどうかについて、それとなく彼女は聞いてみたが、彼の答えははっきりしていた。

情報が漏れることはない、と。

(カマをかけられたのだろうか?) 

美琴はそうも思ってみたが、あの時の笠原女史の目を思い返すと、とてもそうは思えないのだ。

あれは、間違いなく内容を知っているひとの目。



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