752:LX[saga sage]
2012/06/03(日) 21:15:45.01 ID:1JS8rMWZ0
「それで、初春さんはこの後どうするの? また戻るの?」
美琴は全く違う話を切り出し、青くなっていた初春も緊張を解き、ホッとした表情で答える。
「そうですねー、久しぶりに出たので、せっかくですから家に帰ろうかなってちょっと思ってます」
「あら、良いアイディアじゃないの? そうしなさいよ。あなた、お家どこだったっけ?」
「西葛西ですよ? ここからなら……日比谷線でアキバへ出て、岩本町から新宿線に乗ればOKですから。御坂さんは?」
「うーん、さっさと帰るのもなんか……ちょっと銀座歩いてみようかな、なんて?」
「あー、じゃ、私もそうします。オトナのファッションも見たいな、って思いません?」
「あはは、それいいかも? じゃとりあえず出よう?」
二人は勘定を済ませると、夕闇迫る銀座の街に繰り出した。
美琴は、ごく普通のファッションと美味しいものに目がない、当世の女子大生のようにふるまった。
初春は、そんな「ふりをする」美琴に合わせるかのように、彼女もまたはしゃぎ、おしゃべりをし続けた。
二人とも、上条当麻と、美琴のクローンの事を、心の奥底にしまいこんで。
美琴は、この時、土御門の警告を完全に忘れていた。
その頃、学園都市。
「それでは、第5号議案。結論、御坂美琴(みさか みこと)の件について、広報委員会の預かり、ということで各委員、異議はもうありませんな?」
議長の声が響く。
「異議なし」のグリーンマーカーが、出席者の頭上にずらりと点灯する。
「ここに、第5号議案は全員一致で承認されました」
事務方を司る審議投票システムの自動音声がそう宣言すると、「承認」のマーキングが文書データにくっきりと日時データとともにプリントされた。
「次に、第6号議案。第5号議案の決定を鑑み、結論。担当被験者は今回、麦野沈利(むぎの しずり)1名。
第二世代問題調査委員会の預かり、ということで各委員、異議はありませんね?」
議長が確認を求める。
再び「異議なし」のグリーンマーカーが、出席者の頭上にずらりと点灯する。
「ここに、第6号議案は全員一致で承認されました」
関係者傍聴人控席に座っていた笠原真彩(かさはら まあや)は深くため息をついた。
(良かった……これで、あの子は私の部下……あんなクソ委員会にあの子を使い潰されてたまるもんですか)
二人の、レベル5の女性の運命は、この時に大きく分岐したのだった。
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