843:LX[sage saga ]
2012/08/26(日) 21:46:26.36 ID:s3IR9i8w0
美琴と未来の話は続く。
「妹達<シスターズ>としても、優柔不断なお姉様<オリジナル>の尻をけっ飛ばして、とにもかくにも発表にこぎ着けさせたのですから、まぁ良しと言うわけですよ」
「え? 私は最初からそのつもりだったわよ。アイツを実家に連れてったくらいだしさ。
そ、そうね、ちょっと早くマリッジ・ブルーが来ただけよ、そう、それだけよ。うん」
「ふーんそうなんですか……随分と長かったですね?」
「いいのよ。もう終わったんだから。あんたもお疲れ様だったわね。どうも有り難う。おかげで助かったわ……
そうだ、……未来、あのね、今から少しの間、ネットワークから外れてくれる?」
「いいですよ? 内緒のお話ですね?」
「そう。わたしの、御坂美琴の本音よ」
「お姉様<オリジナル>……」
「未来、いい? 私は、あなた達を絶対に守ってみせる。
あなた達自身が『もう一人だって死んでやらない』と言うとおり、私もあなた達を生み出したものとして、最後まで責任を取るわ。
そのためにはね、私は、何だって、何だってするわ」
言い切った美琴の顔を見つめる未来。
彼女の目が大きく見開かれる。驚きの表情の未来が、恐る恐る美琴に訊ねた。
「……お姉さま、それって……それって、もしかして、そのため、に?」
お姉様<オリジナル>は、私たちの為に、一旦は破談になったと聞く結婚を、改めて決めたのですか?と。
でも、あのひと(上条当麻)との結婚が、なぜ、そんなことになってしまったのですか、と。
泣きそうな顔の未来を、美琴は優しい目で見つめる。
「馬鹿ね。あんたはね、そんなこと気にしなくて良いのよ。むしろ、あんたたちに迷惑かけちゃったわけだし、ね。その点は謝るわ。
それにね……別に、あいつとは長いつきあいだし、大好きだったし……。
ただね、ちょっと醒めただけだから……ふふ、もうあいつとは他人じゃないのにね」
「え? あの、お姉さま、それって……もしかして?」
何気ない美琴の最後の一言に、未来が鋭く反応した。
「え? 何……? あ……やぁねもう! いいの! そういうことだから、深く突っ込まないの」
赤くなりながら、突っ込むなと言う美琴の言葉には何の説得力もない。
そもそも彼女自身、未来が想像したであろう事柄を否定すらしていないのだ。
未来は、にま〜っと笑いながら、美琴を弄りにかかった。
「……あの時、ですか?」
「な、なによ」
目を合わさぬまま、美琴が言葉を返す。
「この間、うちにいらした時です。いつもお姉さまが使われているシャンプーと化粧石鹸の香りが違いましたから、あれ? どうしたのかなと」
「う」
確かに、その通りだった。
当麻と結ばれた後、彼女は身体全体がだるかったが、翌日に行われる予定の大騒動の前に、どうしても未来と下打ち合わせを行っておかねばならなかった。
本来なら家へ一旦帰って、改めて身支度をして出てゆきたかったのだが、それには時間が全く足らなかった。
送ろう、という当麻をなんとか振り切って、その後、一人で喫茶店で少しばかり身体を休めただけで、彼女は未来の家に直行したのだった。
(そういうところは、もう大人なのね)
美琴は未来を甘く見ていたことを反省した。この子は、もう一人前の「おんな」なのだと。
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