867:LX[saga sage]
2012/09/16(日) 21:20:39.21 ID:XIEedObl0
さて、御坂妹はどうしていたのだろうか?
彼女が御坂家にかくまわれて、はや1ヶ月以上が経っていた。
既に彼女は御坂家になじんでいた。
あの日。
当麻に連れられて築地のウィークリーマンションから出た御坂妹こと検体番号10032号は、ワゴンタクシーから降り、当麻が示した家の表札を見て立ちすくんだ。
「御坂」
突っ立ったままの彼女の脇で「上条です。参りました」と、当麻がインタホンに向かって挨拶をする。
その声で、彼女は我に返った。
「あの」
「驚いたか? 美琴の実家だよ」
目を見張って、御坂妹は訊ねる。
「どうして、私が」
その時、門が開いた。
「いらっしゃい。待ってたわ」
御坂妹は、思わず反射的に後ずさりし、当麻の斜め後ろに隠れた。
当麻の陰で、こちこちに固まりつつも自分をじっと眺める御坂妹の視線をものともせず、美鈴はニッコリと微笑んで彼女に優しく言葉を投げかけた。
「そうよ、私が、美琴の母親。御坂美鈴(みさか みすず)よ? 覚えておいてね?」
美鈴は、無意識のうちにざっと御坂妹の身体に視線を走らせていた。
その視線に気が付いた御坂妹は、我が子を庇うかのようにサッと両手をお腹の前で合わせた。
その動作を見て、自分が今何をしたのか気が付いた美鈴は、心では苦笑しながらも、あくまでも明るく
「さぁさ、疲れたでしょ? さ、お入りなさいな。今は『他に誰もいない』から」
と言って御坂妹の前に進むと、やにわに彼女の手を取り、
「遠慮しないの。さ、どうぞ」と言って、今度は彼女を後から柔らかく肩を抱き、彼女を中へと導いてゆく。
戸惑うかのようにチラチラと、後から付いてくる当麻を振り返る御坂妹に、
「まぁ心配するな。美鈴さんにまかせろよ、な」と当麻は励ますように声をかける。
「あら、上条クンたら嬉しいこと言ってくれるのねー。でも、何にも出ないからね」と美鈴が混ぜっ返した。
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