869:LX[saga sage]
2012/09/16(日) 21:35:27.93 ID:XIEedObl0
「今は、うちの人いないからくつろいでね? ほらほら、そんなに固くならないの」
そう言いながら美鈴がお茶を出してきた。
「そう、ですか」
当麻は心なしかホッとした感じで湯飲みに手を伸ばすが、御坂妹は心持ちうつむいて固い表情を崩さないままである。
「うん。新しいお家、見に行ってるの」
「え? 引っ越されるのですか?」
なんでまた、と当麻が訊ねる。御坂妹も(え?)という顔をして、美鈴を見る。
「半分正解ね。ここだとね、美琴ちゃん知ってる人、多いから。勘違いされても困るでしょ?」
いたずらっぽい調子で美鈴は御坂妹を見て当麻に答える。
「は……」
「……」
御坂妹は下を向く。
「まぁ、ほかにもあるけど、気にすることはないわ? あの子にも言ってあるし」
「美琴にも?」
「そう」
「あの、」
初めて御坂妹が口を開いた。
何かしら? という顔で美鈴は優しく微笑んで御坂妹を見る。
「このミサカも、その新しいところへ?」
もちのロンよ! というように美鈴は大きく頭を振り、
「そうよ? 最初はね、赤ちゃんが生まれてから来てもらおうかなー、と思ってたんだけど、こんなに早く来ることになったのはちょっと予想外だったかな」
うんうんと頷く美鈴に、御坂妹はぽかんとした表情になる。
「ちなみに、どっちなの?」 と美鈴が訊ねてくる。
「男の子、と言われました」
「えーっ?」
「ホントなの!? やったぁーっ!! 男の子だ! ああっ、もうどうしようかしら、ううーん、もう私待ちきれないわぁー!」
御坂妹は、当麻が驚いたことにもびっくりしたが、もっと予想外だったのは美鈴の反応であった。
どうして関係のないこのひと(御坂美鈴)が、こんなに喜びはしゃぐのだろうと。
「お、お前、わかってたんなら言ってくれよな?」
当麻が少し怒った調子で言うと、
「すみません。当然知っているものだとばかり……」
御坂妹は、まさか怒られるとは思っても見なかったのだろう、しゅんとして俯いてしまった。
「あ、すまん。そんな怒るつもりじゃなかったんだけど、ゴメンな? ……でも、そうか、男の子なのか……」
謝りつつも少し険しい顔になった当麻と、はしゃぐ美鈴。
この対照的な二人に御坂妹が恐る恐る、という顔で控えめに訊いてきた。
「あの、男の子だと、何か特別良いことでもあるのでしょうか? ミサカは学園都市以外の事はよく知らないものですから……」
と美鈴に聞き、当麻には
「逆に、あなたは女の子の方がよかったのですか? とミサカは内心の動揺を隠しながら訊いてみます」と。
1002Res/1293.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。