過去ログ - 新・学園都市第二世代物語
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873:LX[saga sage]
2012/09/23(日) 21:11:44.66 ID:ZCbdZhPS0

その日の夜。

就寝の為客間に御坂妹が下がってしばらくした頃に、御坂旅掛が戻ってきた。

三人は、低い声で言葉を交わしてゆく。

「家具なんかはもう揃っているのでね。身の回りのものは持ってきたそうだな? すまんがそれを持って移動してもらおう」

「その……皆さんは、ここのものはどうするんですか?」

「もちろん持っていくがね、二世帯住宅だから後でもいいのさ。わしも暫くはこっちにいるし。とりあえずは、あの子と美鈴に先に行ってもらう」

「明日、午前中には入りたいから、9時に出るわ。上条クン、いいかしら?」

大丈夫よね? という顔で美鈴が訊いてくる。

「いえ、僕は明日、学園都市でちょっと用事がありますので、すいません。出来ればそろそろお暇しようかと」

「あら、そうなの? 残念ね」

「申し訳ありません」

「それでは仕方ないな。話があるのだが簡単に済ませよう。それで、だ」

旅掛が真剣な顔で当麻を見る。その視線に、思わず当麻も居住まいを正す。

「上条君。その、生まれてくる子のことだが、君はどうするね?」

「もちろん、僕の子ですから」

「ふむ。その前に、あの子には戸籍があるのかね?」

当麻はあっと思う。そうだ。そもそも彼女、御坂妹には戸籍がない。簡単なIDカードは所持しているが、それだけである。

と言うことは、生まれてくる男の子は……

「そうか……」 当麻は頭を抱える。

「そう言うことだ。戸籍上存在しない人間の子をどうやって登録するか、だ。

と、いうわけで、XX市の市長と助役に会ってきた。市長はわしの中学校の同級生なのでな」

「え? そこって、今度引っ越すところ……ですよね?」

「そういうことだ。で、とりあえず彼女の戸籍を先に作る。国籍は国に申請しなければならないがね。

それに一応、今学園都市にいる3人のことも話しておいた。

……XX市で、彼女ら妹達<シスターズ>の戸籍を作成してもらえることになった」

そう言い終わると、ぐいと旅掛はビールグラスを空にする。

微笑んだ顔で、美鈴が空のグラスにビールをまた注ぐ。

(キミは飲まないの?)という顔で美鈴が当麻を見るが、彼は僅かに顔を左右に振り、遠慮しますと目で答え、再び旅掛に質問を投げかけた。

「そんなことが出来るのですか?」 

そんな簡単に戸籍って出来るんですか?と言う顔の当麻に対して、

「もちろん、彼女たちが無国籍である事が前提で、彼女らを保護するために、という建前がいるんだが。

ま、学園都市で生まれているので、正直年齢も不明なんだが、と言ったら『ああ、学園都市ですか……ありそうな話ですね』で納得されてしまった。

あそこは、そう言う目で見られているのだな」

旅掛はそう答えると、再びぐいっとビールをあおる。



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