875:LX[saga sage]
2012/09/23(日) 21:24:27.29 ID:ZCbdZhPS0
当麻の顔が強張る。
「御坂……妹とは……別れます。僕の、妻は、美琴ですから、はい。
でも、お腹の子は、認知します。いえ、認知させて下さい。生まれてくるあの子は、僕の子ですから。僕はあの子の父親ですから」
ゆっくりではあるが、当麻ははっきりと宣言した。
「……」
「……」
旅掛・美鈴の二人は無言。
しばらくの沈黙の後、再び当麻が口を開いた。
「美琴には、迷惑をかけるかも知れませんが、生活費と養育費は送ろう、と思ってます。御坂妹が受け取ってくれればいいんですが」
「ふむ。上条くん。実は、美琴とはその件についても話をしたのだよ」
「は……?」
旅掛は美鈴と頷き合い、訝しげな顔の当麻へ語りかける。
「あの子は、引き続きウチで預かることにした。幸い、美鈴も乗り気なので、ウチは問題ない。
学園都市は危険があるというし、さりとて、あそこを出て来てもらいながら、日本のどこででも暮らしていけ、と道端に放り出すわけにはいかんのでな。
美琴の父、と言う立場では非常に思うところがあるが、御坂旅掛という人間は、妹達<シスターズ>を放っておけないのでね」
当麻は理解した。
御坂妹を、ある意味、隔離したのだ、と。
確かに学園都市外にある美琴の実家に預けてしまえば、もう特別な時以外学園都市で会うことはない。
そして、監視するのは美琴の両親。安全で、確実である。
問題は、御坂妹を狙う連中が、ここまで押しかけてきたら……
「あー、もしかして、私たちのこと心配してくれてるのかな? それはね、もう大丈夫だって、美琴ちゃんが言ってた。
訳は教えてくれなかったけど」
美鈴がピリピリしている空気を和らげようとして助け船を出すが、その甲斐もなく浮いてしまい、話が続かない。
「それで、美琴がウチに寄る時には、君は一緒に来ても良いそうだ。但し、帰る時は一緒だそうだが」
子供には会わせてくれるのか、と当麻は思う。美琴の監視つき、と言う条件に、彼は思わず心の中で苦笑した。
そして、ふと彼は思った。
(母さんは、孫を見たら、御坂妹を許してくれるだろうか)
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