89:LX[saga sage]
2011/08/06(土) 19:50:48.10 ID:GmN4jOF70
こう言う時に、バタバタと走り回ってはいけないことをぼくは経験で知っている。
不安になって走り回るのは、コドモだ。
ここでぼくが動き回ると、親子両方が動いてしまって収拾がつかなくなる。
ぼくは動かずに同じ場所にいた方が、見つけてもらえ易いのだと。
とはいうものの、のどが渇いてきた。
さっき、木山先生がぼくのコップもひっくり返してしまったので、ずっと何も飲んでいないのだ。
一旦気になり出すと、何か飲みたいという欲求をこらえられなくなってきた。
気を紛らわそうにも、この部屋には本もなにもない。もちろんマンガがあるわけもなかった。
ドアを開けて、廊下をもう一度見たけれど、やっぱりお父さん達の姿は見えない。
(確か、入り口のロビーに自動販売機があった)
ぼくのお財布には3千円が入っている。大金だ。
「万一、お父さんがサイフを落とした場合でも、二人で家まで帰れる電車賃だから」と美鈴おばちゃんが入れてくれたものだ。
まぁ、ぼくは子供運賃だから余裕ありありなんだけれどね。多い分には困らない。臨時収入だ。ラッキー♪
――― だから、ジュースの1本程度なら帰りの電車賃には問題ない ―――
(ロビーまですぐだし、そこで飲まないで買ってまっすぐ戻ってくれば、その間にお父さんたちが帰ってきても大丈夫だ)
ぼくはそう考えて、部屋を出ると、早足で自動販売機のあるロビーへ向かった。
「何これ? 見たこと無いものばっかじゃん?」
ぼくは自動販売機の飲み物を見て途方に暮れた。
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