899:LX[saga sage]
2012/10/08(月) 19:43:01.47 ID:vRcZk8Ww0
出国ゲートを出た二人は、タクシー乗り場の方へ歩いて行く。
「リムジンだとね、運転席と客席とは仕切られてるから良いんだけど、ハイヤーはね、中での会話筒抜けだから、用心しないとね」
「はい。気を付けます。ですが、あそこまで脅かさなければいけないのでしょうか?」
「念には念を入れろって言うでしょ? 一応名前も控えておいたし。生活かかってるから大丈夫だとは思うんだけれどねー。
私もスキャンダル多いからさ、用心するに越したことはないのよ」
美琴は、ドライバーのID番号と名前を控え、アンチスキル(初春飾利のことである)に監視を頼んだのである。
彼の落ち込みぶりは傍目にも気の毒なくらいであった。
「アンタだってそうなのよ? 人ごとみたいに考えてない? 他の妹達<シスターズ>にバレたらどうなると思う?
アンタ、ただじゃ済まない『お姉様<オリジナル>、わかりました。もう止めて下さい』……」
麻美は唇を振るわせて抗議する。
美琴も麻美がそこまで反撃してくるとは思わなかったのか、話題を変えた。
「でさ、検査はもう全部終わったわけ?」
「いえ、それが……もう少しデータを取らせて欲しいということで、来月の月初に来て欲しいということになりまして」
「えー、そうなの? 面倒なのね……で、日程は決まってるの?」
「はい。来月の……」
「ちょっと待って。スケジュール見るから……えっと……」
「いえ、お姉様<オリジナル>、一人でも大丈夫ですし」
「何バカ言ってるの、あんたは。私そっくりのあんたが、そんな大きなお腹して街なか歩いてたら大変なことになっちゃうじゃないの?
さっきの話、ほんとに意味わかってるの?」
「……すみません。そうでした……」
「はい、さっさと日程言いなさい」
出口には美琴の母、御坂美鈴が一人、立っていた。
「遅くなっちゃってゴメンね……あれ、父さんは?」
美琴は父・旅掛の姿を探す……が。
「それがね、なんか電話が入って、昼過ぎに飛び出して行っちゃったのよ。学園都市から行った方が早いって、そっちに行ったんだけど、美琴ちゃん連絡あった?」
美鈴がすまなそうに美琴と麻美の顔を見る。
「ううん、何もなかったわ。そんなヒマも無かったんじゃないの? で、どこに行くって?」
美琴は、ああ、またいつもの通りね、とため息をつく。
「英国だって言ってた」
美鈴はもう慣れっこなのか、それほど気にしている様子はない。
だが、「英国」と聞いた美琴は一瞬、当麻のことが頭をよぎった。
英国。あの銀髪シスターがいるところ。
あのバカ、今度はあのシスターと何かしでかして、それに父が巻き込まれたとか、ま・さ・か、それはないわよね……と。
「美琴ちゃん、新しいお家来てないでしょ? 今日は帰れないの?」
そんな美琴の想像は、母の問いかけで打ち消された。
「あれ、もう引っ越してるんだっけ?」
「あらちょっと、美琴ちゃん忘れてた? 11月末に完全に引っ越しちゃったのよ?」
「うそー、聞いてないってば。全くもう、父さんといい、母さんといい、ちょっと実の娘蔑ろにしてない?」
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