962:LX[saga sage]
2012/12/17(月) 21:33:59.98 ID:tdje7QRJ0
(番外編)
ある日の学園都市、ここは第一学区にある合同庁舎の広報委員会オフィス。
今日の美琴は、いつもより遅くに出勤して来た。
「おはようございます、上条委員」 立ち上がって挨拶をするのは第一秘書の御坂美子(みさか よしこ:元検体番号10039号)。
「おはよう、美子。ちょっと一緒に来て欲しいんだけれど、いいかな?」 美琴は美子の机の前に立ち、見下ろす形になる。
(おや、お姉様<オリジナル>の顔色が少し……?)
そう思った彼女は、すっと何気なく美琴の手にふれた。
(はて、生体電流に若干の乱れあり……Blue day?……にしてはタイミングが合いません。風邪……でもひいたのでしょうか?
で、あれば今日はミサカの出番、ということになるかもしれませんね。念のため今日のイベントは……OK)
代わりに出てくれる? と言われるかもしれない、と美琴を見上げながら、美子は直ぐに今日のスケジュール表を画面に出した。
「はい。ですが、それならば検体番号19090号を呼び戻す必要があると思いますが、如何でしょうか?
彼女は現在……ちょっと、検体番号19090号、トイレでのタバコは厳禁でしょう!?」
いきなり怒り出した美子に、へ? と言う顔になる美琴。
直ぐにミサカネットワーク経由で御坂琴子(みさか ことこ:元検体番号19090号)の返事が返ってくる。
「何を怒っているのですか検体番号10039号? これはイミテーションですよ? それに学園都市健康管理センターのお墨付きですが?」
何か問題でも? という調子で言い返してくる彼女に美子はむっとした調子で言葉を返す。
「お姉様<オリジナル>がお呼びです。直ぐに戻って下さい」
「はいはい。おちおち休憩も取っていられませんね、とミサカは誰にともなく独り言をつぶやいてみます」
「お姉様<オリジナル>に直接言って下さい、って、検体番号19090号? その下着、一体なんですかそれ?」
なんと、彼女の下はGストリングなのだった。ほとんどヒモ状態で、クローチはほんのわずかな面積しかない。
「新しいデザインの試作品ですが何か? パンツルックに合わせただけですよ、とミサカはもう少し身だしなみに気を配るべきですと暗にお姉様<オリジナル>と検体番号10039号に警告を発します」
「このミサカはお姉様<オリジナル>の影役を務めるので、お姉様<オリジナル>が直さないと自分ではどうしようもないのです、と責任をお姉様<オリジナル>に転嫁します」
「それでは二人纏めて一度じっくりと教育しなければなりませんね、とミサカはため息をつきます」
「検体番号13577号をハバにするのはどうかと思いますが」
「あのミサカはファッションにはカネを使わない主義なので、言うだけ無駄でしょう。本でも好きなだけ買ってろとミサカは化粧を直しながら、いや、ところでその言葉はどこから来たのですかと質問します」
「検体番号13874号(後の御坂美英:みさか みえ)から聞いたものです。ちなみに彼女のエリアではエビフライを『えびふりゃぁ』と言うそうです、とミサカは覚え立ての知識を披露してみます」
――― ザザザッ! ―――
「ひゃっ!?」
「おしゃべり、楽しそうね? で、琴子はどうしたんだって?」
目を吊り上げた美琴が、美子の頭に微弱な電気を送り込んだのだった。
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