968:LX [saga sage]
2012/12/29(土) 22:20:43.65 ID:gzPvFJAO0
(結局、この子も、か)
美琴は絶望に折れそうになる自分の心を叱咤し、おんなに変貌した自分の影(クローン)と対決する。
「あんた、自分が何言ってるのかわかってるの?」
「もちろんです。お姉様<オリジナル>同様、いえ、お姉様<オリジナル>に負けないくらいこのミサカはあの方を愛しています。
そう、ずっと昔から。このミサカ、心を込めてお世話致します、お仕え致します。どうぞご安心を」
美子(元・検体番号10039号)は今やはっきりとわかるほどの赤い顔で一気にまくしたてた。
真正面から、彼女は美琴に対して当麻への熱い想いを一気にぶちまけてきたのだ。
「どうぞご安心をって、アンタ……私が安心出来るわけないでしょうが? そもそもそう言う問題じゃないでしょう?
あいつの妻は私なのよ? アンタの言ってる事、めちゃくちゃ!」
美琴は美子を見すえて強く、かつ押し殺した声で彼女の「御願い」なるものを断固拒否した。
姉<オリジナル>として、妻として、このおんなに負けるわけにはいかないのだ。
美子は美琴の反論に沈黙した。
だが、僅かの時をおいて、彼女は「あの」無表情の顔で、だが目はしっかりと美琴を見すえたまま、静かに答えた。
「であれば、ミサカはこのお話を受けられません。『上条美琴』が居るのに夫のあの方とご一緒しない、出来ない、というおかしな夫婦はありえませんでしょう?
伊達に2年ほど、このミサカはお姉様<オリジナル>の影を勤めてきてはおりません。大丈夫です、あの方も間違えるくらいに完璧にこなして見せます」
相変わらずの無表情ではあるが、今度はやや色を失った顔の美子はそう言うと、初めて美琴から視線を外し、うつむいた。
美琴は既に琴子(元検体番号19090号)を代打ちにすることを考えていた。彼女は当麻命ではないからだ。
だが、彼女は自分の影武者を務めることは到底無理だった。
どう頑張っても美子の影が精一杯だった。
そもそも彼女の場合は、自分の影を引き受けるかどうかすら、未知数だ。
妹達<シスターズ>だから、彼女たち同士のすり替わりは比較的楽なのだ。
もちろん生活環境も何もかも違う場合は難しいが、美子と琴子は同じ学園都市に生活していたし、他の二人の妹達<シスターズ>(麻美と琴江)と比べれば性格は似た方に入る。
結果的にこの二人はベストの組み合わせだった。
だが、自分の影になれるのは、目の前のこのおんな、美子だけだった。
美琴は自分の判断を悔やんだ。呪った。
美子もあいつを好きだったことは昔からわかっていた。麻美(元検体番号10032号)ほど警戒はしていなかったけれど。
だから美琴は彼女を第一秘書に選んだのだ。
ずっと一緒にいれば、自分の傍においておけば、監視できると思っていた。実際、うまくいったと思っていた。
だが、今やその思惑は裏目に出た。逆手に取られたのだった。
(琴子にしておけば……)
だが、もはや取り返しはつかない。では、どうする?
もう一度? 冗談じゃない!
あいつを渡せるものか、妹達<シスターズ>に。
そりゃ私に昔ほどのお熱はない。「自分だけの現実」が揺らぐような恋心はとっくにない。ティーンの頃の純粋な気持ちは、終わったのだ。
大人になるって、そういうことだ。少し悲しいけれど、仕方がない。
だけど、あいつは、私の夫だ。私のオトコだ。それは今でもはっきり言える。
あの子(麻美)にまんまと嵌められて、私より先に子供作られるというウルトラ馬鹿だけど、それでも、アイツが私の夫だ。
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