過去ログ - まどか「わたしが、わたしたちが、魔法少女だ」
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16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]
2011/07/14(木) 15:32:47.19 ID:jh6R1Ytk0
さやか「・・・」

 頭がぼやけている。背中が痛い。

さやか「・・・んっ・・・ん」

 散り散りになっていた意識が集まり始め、周囲に実感が芽生える。

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 誰かの吐息。荒々しく、それは繰り返される。

さやか「・・・誰・・・?」

 闇の中で、うっすらと、目を開けて。

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 首を、右に動かした。

さやか「・・・――あんた!?」

 隣には、暗闇で青白く照らされながらも解かる赤い髪の少女――佐倉杏子が、横たわっていた。

さやか「うあえああああああああっ!?」

 さやかは思わず上半身を起こし、尻を床に引きずって杏子から距離を取った。背中に、堅い物が当たり、振り向くと、それは木製の長椅子だった。

杏子「さやか・・・ふっ。ようやく・・・お目覚め・・・かな?」

 杏子が言う。気障ったらしい口調とは裏腹に、その声調は儚い。
 眦を搾り、薄い胸を上下させ、全身から大量に汗を流す彼女は、まちがいなく尋常ではない。
 さやかは目を見開き、杏子に近寄ると、彼女の体に治癒魔法を掛けた。しばらくすると、杏子の心拍は穏やかになり、うっすらと、瞼を開け、起き上がった。

杏子「・・・また、君に助けられた」

さやか「別に・・・助けてなんかいないよ。そんなこと、あんたになんかしないっつーの!」

杏子「・・・そうか。では、あたしが君に恩義を抱く義理はないというのだね」

さやか「――あぁそうだよ!勝手にしろよばーか!!」

杏子「・・・君は、どうやら正真正銘のさやかのようだな」

さやか「はぁ?あたしはあたしであたしだっつーの!!」

杏子「疑念の余地なくさやか――では・・・あれは一体・・・」

さやか「何あんた・・・変な夢でも見てたんじゃないの・・・?」

杏子「・・・夢・・・白昼夢であれば良いのだが・・・」

さやか「それよりも――此処何処よ?それに今日は何月何日何時何分何秒!?地球が何回回ったとき!?つうかもう夜!?なんで!?
あたし、さっきまで学校に居て、そんであのキチガイ黒服と――」

 さやかの脳裏に、ある光景が浮かぶ。黒い礼服の後ろ姿。やがてその礼服はぼとりと落ち――双眸から血を流す杏子と対面した。

さやか「・・・え?」

 全く記憶にない記憶に、さやかは戸惑う。思い出そうとしても、思い出せない。

杏子「此処は、あたしの実家だ。君が眠りに就いてから、日は明けていない。亥の刻を過ぎた頃だろう。そして・・・呉キリカは・・・」

さやか「・・・」

杏子「・・・あたしが殺した」

さやか「え・・・あんたが・・・?」

杏子「・・・あぁ」

 暗がりで、消沈した表情を浮かべるのは、それは彼女が自分で殺した人間の死を悔やんでいるからなのか、それとも何かを隠しているからなのか、さやかには判然としなかった。

さやか「・・・そっか」

 だから、解答から逃げ出した。


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