過去ログ - 唯「あずにゃんが横浜のドラフト1位!?」憂「クライマックス!」
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139:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/07/27(水) 14:35:33.23 ID:B52d7inW0
「それにしても、もうちょっとニコリとでもすりゃあいいのによ」

カメラマンが苦々しく言った。
そのカメラの先はダイヤモンドを一周する選手の顔に向けられている。

「ま、お姫様きどりなんだろ。ちやほやされたいのさ。愛嬌をふりまくような下賤なマネはしたくないってさ」

隣のカメラマンも皮肉っぽく笑った。

「あれでニコニコしてりゃファンも増えるし、こっちだっていい写真の一つも撮れるのによ」

カメラから顔を外して、唇を歪めて、二塁ベースを駆け抜ける選手を眺めた。

「うん?」

一人が大きく目を見開いて、もう一度カメラを覗いた。

「今、笑ってなかったか?」

「まさか。ニコリともしねえしインタビューじゃ愛想一つねえ。それがあいつだろ」

「いや、でも…」

カメラマンの目線を背中に浴びながら、いちごはホームベースを踏んだ。
その口元は、わずかに緩んでいる。

どんな時でも自分の思うようにあればいい。
笑いたくなければ笑わなければいい。笑いたければ笑えばいい。
自分を自分でごまかす必要はない。
いちごはそう思った。

ホームランを放った選手を、ベンチが出迎える。
ハイタッチがどんどん連鎖していく。

明るく踊るマスコットキャラクター。

大盛り上がりのホームチームファン。

歯噛みするビジターチームのファン。

その合間を縫うように、大忙しの売り子たち。

バックスクリーンには、ホームランボールを持って嬉しそうに笑う三人家族。

今年も野球の季節がやってきた。

そして、いちごの新しい春がやってきた。


『いちごアフター』 おわり



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