過去ログ - 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」
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nubewo
◆sQkYhVdKvM
[saga sage]
2012/02/05(日) 14:29:34.35 ID:BsnPmecvo
穏やかな表情と物腰のわりに言葉はストレートな姫神が、やけに躊躇いがちな感じで尋ねた。
姫神が足取りを緩める。教室まであと少しの廊下で、二人の距離が少し開いた。
「まだクラスでちゃんと決めてないだろ?」
「うん。だから先約とか。あるのかなって」
「いや別に、ないけど」
男女ペアの嬉し恥ずかしなイベントには、実行委員で忙しい吹寄は参加する気がないのだ。
となると、別に上条としては参加種目はなんでもいい。だから全然決めてなどいなかった。
……そのせいでちょっと吹寄に小言を言われたことはあるのだが。
「そっか。あの。上条君……」
姫神が胸にかけた十字架を弄んで、落ち着きなく視線を廊下に這わせる。
「私。男女ペア対抗の競技に出ろって。女子のくじ引きで決まってしまって困ってるの」
「あ、女子はくじで決めたのか、結局」
「……うん。うちのクラスには。公認のカップルっていないし。みんな遠慮しちゃって」
真実はちょっと違って、上条姫神をくっつけようとする政治力が裏で働いていたのだ。
……そういう事情をなんとなく察しながら、姫神はその流れにあえて逆らわなかったのだが。
「で、相手は決まってるのか?」
「ううん。これでも私。一応女子校育ち」
「男子と手を繋ぐのは怖いとか?」
「別にそこまでじゃないけど」
つんと、姫神が唇を尖らせる。まるで察しの悪いこの男に苛立っているからだ。
大体、こんな話の振り方をして、上条を誘っているのだと何故気付かない?
「上条君は。まだ参加する種目決めてないんでしょ」
「ああ」
「だったら……」
勇気を、振り絞る。
別になんでもないことなのだ。付き合って欲しいと告白するわけじゃない。
そんなのじゃなくて、ただ、大覇星祭という青春の大きなイベントで、上条と一緒に、ゴールを目指すだけ。
すう、と息を吸って、心を整える。
「私と一緒に。その」
「姫神?」
「男女ペアの競技に。出てくれないかな」
「へ?」
突然の申し出に、上条は目を見開いた。
だが手だけは止まることなく、カラリと教室の扉を開いた。
「おはようカミやん。今日もずいぶん遅いんやね……って、え?」
黒板の傍で誰かと喋っていたのか、真っ先に青髪が声をかけてきた。
だが、すぐさま青髪は凍り付いていた。
……上条と姫神が見詰め合っていて、姫神の表情がいつになく、恋する女の子の顔だったから。
「嘘、やろ……?」
数秒後、ホームルーム間近でほとんど揃っていたクラスメート全員がその状況に気付き、驚愕することになる。
――――すなわち。姫神秋沙は、やはり上条当麻と、友達以上の関係にあるのではないかと。
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