22: ◆LKuWwCMpeE[sage]
2011/07/16(土) 22:37:02.56 ID:RoU1LS4DO
本日はジャッジメントの仕事があり、初春は彼女が属する第一七七支部へと来ていた。
どうやら他に人の姿はなく、初春が部屋の鍵を開け、中に入る。
エアコンのスイッチを入れ、すぐに到着するのであろう二人の為に茶を沸かす準備をした。
「…………ふぅ」
「あら初春。早いじゃありませんの」
「わっ」
すると本当に唐突に、初春の背中に声が届いた。
ドアを開けた音もない、物音一つもなくこの場に『いた』。
「もー白井さん、驚かさないで下さいよー」
「その割には随分落ち着いてるんですの」
当然だ。
初春がジャッジメントに属した日から、常盤台の制服に身を包んだこの『空間移動』の能力者の黒子の登場は大体これで。
勿論、当初は腰を抜かしたり、驚きすぎてちょっぴりだけ泣いたりしてしまった事もあった。
本当にちょっぴりだけ、と本人の談。
だがまぁ毎回毎回この登場シーンなのだ、慣れてしまうのにも仕方はない。
「固法先輩はまだ来てらっしゃらないんですの?」
「はい、まだみたいですね」
黒子は鞄を起き、椅子に腰掛けながら初春に尋ねる。
初春もそう答えながらも紅茶を煎れる手は休めずに返事をした。
固法先輩というのは、同じジャッジメント第一七七支部に属する眼鏡を掛けた年上お姉さん。
あの凛とした雰囲気と抜群のスタイルに初春は少し憧れを抱いていたりするのだが、ここでは特に特筆する事ではないだろう。
「紅茶ありがとうですの。それで初春、昨日は無事だったんですの?」
初春は黒子の目の前に紅茶を置き、自身の机にも紅茶を置いて椅子に腰掛けると、黒子からそんな言葉が届いた。
昨日の事。それは勿論、あの不良達の喧嘩に巻き込まれた件。
「はい、大丈夫ですよ。ちょっと肘を擦りむいちゃいましたけど」
「お姉様から聞きましたの。なんでも、あの類人猿に助けられたとか」
「えっ、白井さんあの人の事知っているんですか?」
黒子の言葉に初春は紅茶から目を離し、黒子の目をじっと見つめる。
相変わらず黒子は優雅に紅茶に口を付けながら、しかしよくよく見ればほんの少し眉間にシワが寄っているのかもそれない。
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