過去ログ - 真・恋姫無双【凡将伝】その３ -SS速報VIP

過去ログ - 真・恋姫無双【凡将伝】その３

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968:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.[saga]
2011/09/10(土) 02:08:31.13 ID:7/QMvJK3o
「ちょ、おま！何ぞそれ！」
「えー、何でそんなに狼狽えてるのかたんぽぽわかんなーい。
　あ、お姉さまの将来の旦那様だから、たんぽぽって読んでね。二郎さま、って呼ぶから」
「人の話を聞けよ」
「わたくしも聞きたいですわね」

凍りついた空気。
心底楽しそうな馬岱。蒲公英だっけか。
こいつは、あれだ。小悪魔というか、人をおちょくって楽しむタイプの人間だ。
口に手を当てほくそ笑む表情を隠してる、つもりかこのやろう。

「いや、馬騰さんの冗談というか軽口というか」
「えー、叔父様武辺者だから冗談とか言わないよー」

お前は黙ってろこんちくしょう。

「いや、あの場には何進大将軍もいらっしゃっていつになく上機嫌で、だな」
「うんうん、何進大将軍にも認可を得たって叔父様言ってたなあ」

やめて！俺のライフはもうゼロどころかマイナスよ！

「二郎さん？後で詳しく、ええ、詳しくお話を伺いたいのですけれど？」
「れ、麗羽様…ご、誤解ですってば」
「く、わ、し、く！お話を伺いたいのですけれど？」
「う、承りました…」

なんだろう、やましいところなんてないのに何で俺はこんなに追い詰められてるの？
くそう。世界はいつだってこんなはずじゃなかったことばかりだ。
何で味方の馬家に背中から刺されないといかんのだ。
ぐちぐちと思考が負のスパイラルである。

「ごめんなさいねー、思ったより深刻だったー？」
「ふざけるなこのやろう」

てへり、といった風の馬岱に猛抗議をする。

「たんぽぽ頭悪いからよくわかんなーい」
「怒るぞ」
「いやー、犯されちゃうー、きゃーけだものー」

はしゃぐ馬岱に脱力してしまう。狙ってやってるのなら大したもんだ。
先ほどの爆弾発言とは違って周囲の人物には聞こえない程度の音量でふざける。
…ふざけてると判断する。

「一応聞いとくけどな、馬家は俺に喧嘩売ってるのか？」
「えー、そんなわけないでしょー。あくまでお茶目の範囲でたんぽぽがんばったよー」

よし、お前の努力の方向性は理解した。
だがなあ。

「袁家の連携にヒビ入れかねん冗談とか阿呆かお前は。
　ちょっとお前十常侍と繋がってるって何進に言うぞ」
「え、ええ？たんぽぽそんな気はなかったのごめんなさーい！」
「だが許さぬ。お前の冗談はそういうことだ。これは馬騰殿にも委細報告する」
「えー、横暴ー！ぶーぶー」

腹は立つ。が、相手の急所を見抜くということは評価せんといかんかもな。
だが。俺は結構腹を立ててるのだ。
なんかほざく蒲公英向に囁く。

「まあ、なんだ。俺からは一言だけ。
　貴様には地獄ですら生ぬるい」
「ええ？そこまで怒ってるの？ちょっとたんぽぽ謝りたいなー」
「時すでに遅し。それが嫌なら関係各所にきっちり説明してもらおうか」
「…はーい。うう、ちょっとした冗談だったのになー」
「逆鱗のありかというのを学んだ方がいい。というか本当に洒落になってねえよ」

洛陽ではため息を量産することになりそうだな、と俺は覚悟する。
味方の稚気と善意ですらここまで俺を追い詰めるのだ。
悪意となればいかほどのものか。
とかなんとか考えているが、皆の機嫌をどうやって取ろう。

俺は盛大にため息をつくのであった。

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