過去ログ - 【ポケモンSS】タイトルは決まっている
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105: ◆.Br/vY/Hx.
2011/08/18(木) 19:43:01.09 ID:IlOtZ6Cg0
第25話

「"心の目"だ……フリーザー」

 外見からは分からないがノエルから只ならぬ怒りのようなものを感じる。
 表情には出ていない、ただ圧倒的なプレッシャーがそれを確かなものと感じさせる。

「"心の目"!?」

 姿勢を整えたフリーザーの目がギラッと一瞬光る。
 全神経を集中させるかのように一度瞳を閉じ……静けさが辺りを包み込む。

(影分身? 高速移動?ダメだ、撹乱の一手は確実に通じない)

 一瞬の間に考えをまとめようとする。
 1秒2秒……ジルの考えがまとまる前にフリーザーはその瞳を開き活目する。
 本気でマズイと思ったのか苦い表情を見せる。


―――

「おそらく次の一手は一撃必殺の氷技"絶対零度"ですわね」

 次の攻撃を確実に命中させる技"心の目"との有名なコンボ攻撃。
 理論値では100%命中する一撃必殺を前にルリカは体が震えた。

「でも、ポケモンバトルは教科書通りには進まない」

 ルリカとは真逆にその状況を楽しそうな笑みで見つめるシズク。
 シズクの一言一言が気になる様子のルリカはロコンを強く抱きしめる。


―――

(俺のピカチュウは"ボルテッカー"を習得している……
 足の速さなら負けてはいない、電気玉を持つピカチュウのボルテッカーを受けて耐えれる訳がねぇ)

 刹那……
 ジルに過る一つの勝機。
 ピカチュウもこの雰囲気を察してか時折ジルの方をチラッと見ながら力強く身構える。
 いつでも動き出せるように、いつでも最大の力を発揮できるように頬に電気を蓄えて。

(どうする……?)

 流れ落ちる一粒の汗が、フリーザーの冷気に冷やされ冷たく額を駆ける。

「フリーッ!」

 確実にピカチュウを"心の目"で捕らえたのか、それを知らせるように羽を大きく広げた。
 本当に少しの時間だが、本来ならこの間に考えずに攻め込むべきであったのかもしれない。
 気を散らせる事でその技(絶対零度)を不発させることもできだであろう……
 しかし、用心深い性格のジルは考え込んでしまった。時間を使ってしまった。

("心の目""絶対零度""ボルテッカー""電気玉"……"伝説の鳥ポケモン"……報道陣)

 1秒も経たぬ間にジルの頭の中に、現状を説明するありとあらゆるワードが立ち並ぶ。
 
「フリーザーッ!"絶対……」

 手を前に差し出したノエルが技を宣言しようとした時の事だった。
 フリーザーも察していたのか体中に冷気を漂わせ構えていた。

「降参だ」

 ジルが右手を大きく挙げて小さく息を吐いて口にする。
 それを聞いてノエルは一瞬、驚いた表情を見せフリーザーに技の中止を指示する。

「ピカチュウ棄権!! よって、この試合……ノエル=ディ=スタンスの勝利!!」

 教員が嬉しそうにノエルの方の手を挙げて大きく叫ぶ。
 試合を見ていた生徒達から大きな拍手、報道のカメラも近づいてフリーザーを撮影する。
 ピカチュウは「ふぅー」と息を吐いて胸を撫で下ろしジルの元へと駆け寄った。



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