3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga]
2011/07/21(木) 19:54:24.27 ID:CFHE2pE70
「……誰?」
「今日は客が多いな」
「…………」
「えっ、と……」
無言でこちらを見つめる、帽子を目深に被った金髪の少年がいたり、見知らぬ客の登場に顔を見合わせる二人もいる。
歓迎ムードとは言えないし、それも当然のことであるので、男は機先を制し口を開くのだった。
「やあ、すまない少年少女達。ちょっと迷ってしまったんだが、道を教えてくれるかな」
「……別に構いませんが、どちらへ?」
「おお、ご丁寧にどうも。俺が向かいたいのは工場区なんだが……ここからだとどの道だろう」
サングラスと派手めのジャケットが目につくが、理知的かつ柔らかな物腰と感じさせる少年が、男の言葉に応えた。
彼の言葉に礼を返し、男は自分の用事――もとい仕事のある工場区への道を尋ねる。
工場区――それも基本は一般の立ち入りの許されない機密ブロック――こそが、男の最終目的地なのである。
そんな場所が目的地なのに道もわからぬというのは何とも言えぬが、それはともかく。
「工場区なら、ここをこうして……」
「ふむふむ」
サングラスの少年の説明を受け、しきりに頷く男。
彼ら二人のやり取りを見つめる少年少女数人。
奇妙な風景が出来上がりつつあったところで――急に。
轟音と凄まじい揺れが、彼らに襲いかかった。
25Res/20.32 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。